クルマの「燃費競争」聞かなくなった? 原因はリッター30キロ超えで「泥沼化」したせい!? 低燃費対決のその後

もはや「低燃費」なのは当然! 購入者が重視するポイントも大きく転換した

 2017年にはミラ イースも2代目へとフルモデルチェンジを果たしますが、燃費性能は初代最終型と同じ35.2km/L。

 アルトも、2021年にフルモデルチェンジした現行型の9代目モデルでは、マイルドハイブリッドモデルでも33.1km/Lと、なんとアルト エコ時代よりもカタログ燃費は悪化しているほどなのです。

2017年5月にフルモデルチェンジした2代目のダイハツ「ミライース」は35.2km/L(JC08モード燃費)をマークしましたが、この燃費数値自体はモデルチェンジ前と変わりありませんでした
2017年5月にフルモデルチェンジした2代目のダイハツ「ミライース」は35.2km/L(JC08モード燃費)をマークしましたが、この燃費数値自体はモデルチェンジ前と変わりありませんでした

 とはいえ30km/L台なら、すでに十分すぎる低燃費といえます。

 ユーザーの「イマドキのクルマは燃費性能がよくて当たり前」というイメージが市場に定着してきたこととも相まって、カタログ燃費の数値が、かつてほど気にされなくなってきたといえるかもしれません。

 さらに2018年10月から、よりリアルな使用環境に近い「WLTCモード燃費」がカタログ燃費表記の主体となった影響も少なくないでしょう。

 一方で、極端な燃費性能を追い求めるがあまり、日常使いでのドライバビリティ(運転操作のしやすさや自然さ)の低下や、乗り心地の悪化といったネガティブな要素が生まれてしまったことも否めません。

 購入するユーザーも、カタログ燃費がコンマ単位で優位に立つことよりも、使い勝手の良さや車両に備わる付加価値などに重きを置いたクルマ選びをするようになりました。

 燃費の面では不利な大柄ボディを持つ軽スーパーハイトワゴンが、広い室内や使い勝手の良さで支持され、軽でもっとも売れている事実からも明らかです。

 こうしたいくつかの要因が重なって、極端な燃費競争も終息することになりました。

 とはいえここまでガソリン代が高騰してくると、ふたたび燃費性能が気になってきてしまうというのもまた事実。

 今後も商品力や低価格をキープしたまま、燃費性能もアップした欲張りなニューモデルが登場することを期待したいところです。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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