マツダ「ロードスター」はなぜ人気? ND史上最軽量の「990S」にも受け継がれた魂とは
990Sはなぜ人気となっているのか
そんな出来の良いND型をベースにしつつ、軽量さを磨くという原点回帰を目指したのが、今回、追加された990Sです。

ちなみにロードスターの開発陣は、マツダ内にこもるのではなく、オーナーが集うイベントに熱心に顔を出しています。実際のユーザーの生の声を浴びるように耳にしているのです。その開発陣が、オーナーの願いや、ロードスターの魅力を見失うはずがありません。
ということで990Sは、2021年11月の「ロードスター軽井沢ミーティング(コロナ禍で例年とは日程が変更されていた)」でその存在が公にされた直後、筆者は試乗もせずに購入のハンコを押しました。
なぜなら開発陣は「ベーシックなSグレードを大切に思っています。そのSにスポットライトを当てるモデルを作りたかった」と説明したからです。個人的にロードスターの神髄は、ベーシックな「Sグレード」にあると以前から考えていましたから、その思いに強く同意したわけです。
そして2022年2月のメディア試乗会にて、990Sのハンドルを握る機会を得ました。ちなみに、自身が契約したクルマは、まだ納車される前でした。しかし、その出来は、予想を上回る良さであったのです。
まず、何もない場所での乗り心地が良いのに驚きました。ダンパーが専用に調整されていたのです。
また、ワインディングでの安定感と安心感もアップ。ブレーキもコントロールしやすくなっています。街中と、ちょっとしたワインディングを中心に走るのであれば、大満足という内容です。
逆にカーナビもなにもない質素なインテリアは、想定どおりのもの。それでも、衝突被害軽減自動ブレーキや斜め後ろの他車の存在を知らせるブランドスポットモニターが標準装備されているのは、いまどきのクルマということ。質素といっても、必要なものは、ちゃんとアップデートされているのは安心な部分です。
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まとめて言えば、ロードスターの魅力は、走って楽しく、イジって楽しく、仲間と集って楽しいという、「だれもが、しあわせになる。」を体現したところにあり、それが初代から、現行モデルまで継承されているところにあります。
そして、新しく加わった特別仕様車の990Sは、そんなロードスターの原点を、現代に再現したモデルといえるでしょう。人気があるのも当然のことだと感じます。
Writer: 鈴木ケンイチ
1966年生まれ。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。自動車専門誌を中心に一般誌やインターネット媒体などで執筆活動を行う。特にインタビューを得意とし、ユーザーやショップ・スタッフ、開発者などへの取材を数多く経験。モータースポーツは自身が楽しむ“遊び”として、ナンバー付きや耐久など草レースを中心に積極的に参加。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを、分かりやすく説明するように、日々努力している。最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。









































