マツダ「ロードスター」はなぜ人気? ND史上最軽量の「990S」にも受け継がれた魂とは

軽さがもたらす楽しさをとことん追求!

 また、「ロードスター」は、オーナーがメンテナンスしやすいように、ボルト&ナットのサイズがハンドツールでも扱えるように調整されていました。

 ブレーキパッド交換のような作業から、サスペンション交換、はてはクラッチ交換まで、アマチュアでもできるようになっていたのです。筆者も若いころにオイルで手と顔をまっ黒にしながら挑戦したことは、良い思い出です。

1989年に登場した初代「ユーノス・ロードスター」
1989年に登場した初代「ユーノス・ロードスター」

 そんな手を入れやすいクルマですから、市井のショップがカスタムするのも簡単です。そのため、「ロードスター」がヒットすると、日本中どころか世界中のショップから、カスタム用のパーツが発売されました。
 
 そうしたパーツを使えば、自分のロードスターを、誰にも似ていない世界でただひとつのものにカスタムすることができます。これもロードスターのヒットの理由のひとつでしょう。

 さらに、ロードスターには、数多くのオーナーのコミュニティが生まれました。ネットのない時代は、オーナーズ・クラブが結成され、週末にドライブがてら集まるようになります。

 またネット時代になると、SNSを舞台に同じようなコミュニティが生まれます。また、ネット時代になってもオーナーが集うイベントは盛んに開催され続けます。毎年5月末には、恒例の「ロードスター軽井沢ミーティング」が開催され、毎回1000台を超えるロードスターが全国各地から駆け付けます。そうしたイベントに気軽に参加できるのも、他のクルマにない魅力といえるでしょう。

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 そんなロードスターの魅力は、初代のNA型から2代目のNB型、3代目のNC型、現行型のND型まで、脈々と受け継がれています。この継続性もロードスターの魅力です。

 モデルが継続していれば、旧型から新型に乗り替えることもできますし、専門ショップもビジネスを継続できます。「ロードスター」を盛り上げる人たちが長く続けられるのも、重要なポイントと言えます。

 そして2015年に誕生した現行型のND型ロードスターは、マツダにとって、非常によい時期に生まれたモデルです。

 振り返ってみれば、初代NA型はバブル期の人手不足の中で苦労して生まれた奇跡のようなモデルでした。次のNB型はバブル後の不況時代、NC型はフォード傘下の時代という、どちらもマツダの経営が悪化した時代に、どうにかこうにか生き延びることができたというモデルです。

 しかし、2015年のマツダはスカイアクティブ・テクノロジー&魂動デザインなどの第6世代商品群をリリースし、勢いに乗っていた時期。そんな充実した時期に生まれたND型「ロードスター」は、非常に練り込まれたよいクルマに仕上がっていると、乗るたびに感じます。

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