e-POWER×4WDが常識を覆す!? 日産新型「ノート」が氷上で見せた驚きの走りとは?
氷の上を走っているのを忘れるほどの加速力!
新型ノートはFFのほか4WDもラインナップしています。はたして4WDの実力はどうでしょう。
結論からいえば、それは常識を超えた走りでした。
驚きはふたつあります。まずひとつ目は加速です。
とにかく滑る氷の上でもスムーズに加速するのはFFと同じですが、加速の強さ(スピードの上昇)がまったく違うのです。
それだけでなく、ハンドル修正をまったく必要としないのだからこれまでの常識がガラガラと音を立てて崩れていくのを感じました。
よほど意識しないと氷の上であることを忘れてしまうほどの加速性能で、にわかには信じられないレベルなのです。
いくら4WDであっても、普通の4WDではこうはいきません。同じように加速しようと思ったら、左右で滑りやすさが異なる路面に足をとられて暴れるハンドルを必死に抑える必要があるでしょう。モーターを駆動力とするノートは、その制御が綿密だから、そうならないのです。
もうひとつ驚いたのは、旋回能力の高さ。同じ場所を走っても旋回速度が高いだけでなく、FFに比べて曲がりやすくて外側へ張り出さないので、しっかりと狙ったラインをトレースしやすいのです。そのうえハンドルの修正も信じられないほど少なく済みます。
一般的には、4WDというだけではここまでスムーズに曲がれません。運転技術さえあれば、さらにアクセルを踏み込んでドリフト状態に持ち込めるほど、4WDの新型ノートは優れたコントロール性を持ち合わせていました。
理由は、先代に比べて大幅に進化した4WD制御にあります。新型は先代と違って後輪モーターの出力が大きい(なんと14倍!)うえに、作動速度上限(先代はごく低速時のみ作動)も「全車速域」まで引き上げられたことで、旋回中も後輪の駆動力を活用することができます。
それを利用し、旋回状況なども把握しながら前後の駆動力配分をリアルタイムでコントロール。そのため「滑りやすい路面でも曲がりやすい4WD」になっており、アクセルオンでもグイグイ曲がるのが素晴らしいです。
先代のノートe-POWERにもモデルライフ後半で4WDが追加されましたが、モーター出力が小さくて作動上限速度も低かったため、発進をアシストするにすぎませんでした。
もちろんそれでも雪道を走るうえでは大きな安心感につながったのですが、新型は発進だけでなく追い越し加速やコーナリングまで効果を発揮することになり、ますます安定性と安心感が増したといっていいでしょう。
滑りやすい路面で運転した新型ノートは驚きの連続でしたが、なかでも従来モデルから大きく進化した4WDの安心感はもはや感動といえる領域に到達しています。
雪道を走る人が新型ノートを購入するのであれば絶対に4WDを選ぶべき。安心感はもちろんだけど、運転する楽しさも違う。そう断言できます。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
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