いま見ても秀逸なスタイル! 常識にとらわれないデザインの車3選
デザインはクルマ選びの重要な要素です。あまりにも奇をてらったデザインは、ユーザーに好まれないリスクもありますが、大いに話題となる可能性も秘めています。そこで、常識にとらわれないデザインで成功したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
斬新なコンセプトとデザインで成功したクルマを振り返る
クルマの外観デザインは、そのクルマがヒットするか否かを占う重要な要素です。ユーザーもクルマ選びをおこなう際に、決め手となるのはデザインではないでしょうか。
そのため、メーカーも過度に冒険するよりも、多くのユーザーに好まれるデザインを目指すのが一般的です。
しかし、かつては斬新なデザインとコンセプトでヒットしたモデルも存在。そこで、常識にとらわれないデザインで成功したクルマを、3車種ピックアップして紹介します。
●日産「エスカルゴ」
日産は1987年にクラシカルな内外装のデザインを採用した限定車、「Be-1」を発売しました。このデザインが大いに話題となったことで争奪戦となり、中古車が新車を上まわるプレミアム価格がつけられたほどです。
その後も日産はBe-1に続いて、クラシカルなデザインの「パオ」と「フィガロ」限定発売し、後にこの3台は「パイクカー3兄弟」と呼ばれました。
このパイクカー第2弾のパオと同時に発売されたのが、ユニークなデザインのライトバン「エスカルゴ」です。
1989年にデビューしたエスカルゴは、カタツムリのようなフォルムに由来したネーミングで、正式には「S-Cargo」と表記され、「Cargo=貨物」のスペイン語読み「カルゴ」と「S(エス)」を組み合わせてエスカルゴと呼称する商用車として開発されました。
パイクカー3兄弟が初代「マーチ」をベースにしていたのに対し、エスカルゴは初代「パルサー バン」をベースとし、エンジンは1.5リッター直列4気筒を搭載するFFです。
外観に負けず劣らず内装もユニークで、センターメーターや一本スポークのハンドルに、当時としては斬新なインパネシフトのシフトノブと、ウインカーレバー、ワイパーレバーの意匠を統一するなど、かなり凝ったデザインでした。
エスカルゴは商用車として重要な荷室の広さはそれほどでもありませんが、荷室高は1230mmを確保して十分に実用的で、主に個人商店の荷物配達用やレジャー用として人気となります。
さらに、標準ルーフだけでなく、商用車としては異例のキャンバストップも設定されるなど、随所に遊び心が散りばめられていました。
●三菱「デリカ スターワゴン4WD」
1990年代の初頭、今のミニバンと同様なモデルの普及が始まりました。それ以前の多人数乗車が可能なモデルは、ワンボックスバンをベースにしたワゴンです。
そんなモデルの1台が1979年に発売された三菱「デリカ スターワゴン」で、商用車の「デリカ」をベースにワゴンに仕立てられました。
このデリカ スターワゴンに1982年、画期的な4WDモデル「デリカ スターワゴン4WD」が追加ラインナップ。
デリカ スターワゴン4WDは手動でトランスファーギヤを切り替えるパートタイム式4WD車で、本格的なクロカン車と同様の強度が高いラダーフレームにボディを架装した構造です。
外観は最低地上高が高められて大径のオフロードタイヤを装着し、フロントにはブッシュガードを装備するなど、クロカン車そのものをイメージさせました。
足まわりもフロントにトーションバースプリングのダブルウイッシュボーン、リアがリーフスプリングのリジッドアクスルとし、長いストロークを実現。
デリカ スターワゴン4WDは斬新な見た目と高い悪路走破性を誇り、それまでにないワンボックスワゴンのクロカン車としてアウトドア派のファミリー層から絶大な人気を獲得しました。そして、現在の「デリカD:5」へとコンセプトが受け継がれています。
●ホンダ「トゥデイ」
2輪車メーカーとして設立されたホンダは、1963年に同社初の4輪車である軽トラックの「T360」を発売し、1967年には軽乗用車の「N360」を発売すると大ヒットを記録。
しかし、ホンダは初代「シビック」をはじめとする登録車の開発・生産に注力するために、1974年に軽トラック以外の軽自動車生産から撤退しました。
その後、1979年にスズキ初代「アルト」誕生すると、軽ボンネットバンが市場を席巻するようになり、ホンダも追従するため、1985年に初代「トゥデイ」を発売。11年ぶりに乗用タイプの軽自動車生産が復活しました。
トゥデイは、ホンダが提案する新世代の軽自動車として開発され、極端に短いフロントノーズと、ボンネットのラインから後端までつながるロングルーフ、そして低く伸びやかなフォルムが特徴です。
1981年に発売された初代「シティ」が、全高を高くすることで広い室内空間を確保していたのに対し、トゥデイはまったく異なるデザインコンセプトを採用。
ショートノーズと新開発のサスペンションによってタイヤをボディの四隅に配置し、室内の前後長を長くすることで広い居住空間を確保するという手法は、それまでの軽自動車にはない発想でした。
初代トゥデイの斬新なデザインとレイアウトは高く評価され、ヒットを記録。ライバルメーカーがパワー競争によって高性能化するなか、パワーを追い求めなかったホンダの戦略もユニークだったといえます。
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ユニークなデザインやコンセプトのモデルが成功することは、とても珍しいケースといえます。これまで各メーカーとも斬新なクルマをつくっては消えの連続でした。
そのため、近年は奇をてらったモデルが出ることは、非常に稀です。
ニッチな市場を狙ったクルマは見ているだけでもワクワクしますが、昨今の経済状況を考えると、そうしたモデルの出現はもはや難しいでしょう。
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