トヨタが水素エンジンの「未来の扉」を開く! 様々な垣根を超えて新たな挑戦で見えたものとは
2021年5月21日から23日に掛けて富士スピードウェイにてトヨタが新たに開発を進めている水素エンジンを搭載した「カローラスポーツ」の挑戦がおこなわれました。トヨタという垣根を超えて新たな水素社会の第一歩とは、どのようなものだったのでしょうか。
モータースポーツの現場でカーボンニュートラルを実践
2050年にカーボンニュートラルを実現させるために「マルチソリューション」を掲げるトヨタですが、今回は「水素技術を活用して内燃機関の可能性を探る」という未知への挑戦をおこないました。そのステージとして選んだレースが「富士24時間耐久」でした。
この模様はすでにTVや新聞、ネットメディアをはじめとするさまざまなメディアで紹介されていますが、筆者(山本シンヤ)はこの結果を生んだ裏側が非常に重要だと考えています。
そこで今回、筆者がレースウィーク前から現場に出向いて、自ら「見て」、「聞いて」、「感じた」ことを紹介していきます。

この挑戦のスタートは、2021年5月20日の専有走行からです。筆者は午前中に別件の仕事を終え昼過ぎに富士スピードウェイに到着。
メディア申請をおこなった後に44-45番ピットに向かうと、チーム関係者に「シンヤさん、一番乗りですね!!」と声をかけられました。
チームに余裕があるときこそ取材のチャンスというのが筆者の耐久レース取材の知恵です。
ピットはもちろんパドック周り設営もすでに完了していますが、実は筆者はこの時点で「違和感のない違和感」を感じていました。
それはパドックで聞き慣れた発電機の音がしないことです。実は今回、水素エンジンのマシンを走らせるだけでなく、モータースポーツの現場でカーボンニュートラルを実践させています。
燃料電池電気自動車(FCV)の「MIRAI」とFCVにコンバートされた「グランエース」がパドック周りの電源を供給、さらにはチーム関係者のお腹を満たすためのキッチンカーには、日本未発売の「ハイエース(300系)」が用意され、これもFCVにコンバートされたモノです。
グランエース/ハイエースは、MIRAIのパワートレインを水平展開した試作車ですが、ベース車のレイアウトを活かした搭載方法になっています。
開発者は「色々課題はあるのは承知ですが、まずはカタチにして実際に使ってもらいカイゼンを続けています」といいます。
さらに、交流から直流に変換するためにはホンダの発電機を使っていますが、現場にいたモリゾウ選手(トヨタ・豊田章男社長)にこの話をすると、「メーカーを超えたコラボ、これもルーキーレーシングだからできること」と教えてくれました。




























