トヨタが水素エンジンの「未来の扉」を開く! 様々な垣根を超えて新たな挑戦で見えたものとは
GRヤリスとは違う、水素エンジン搭載のカローラスポーツ
マシンは午前中の専有走行1回目を終え、午後の専有走行2回目にむけてメンテナンス中でした。
片岡龍也監督は「GRヤリスのときとは違い、レーシングメカニックと水素を取り扱うメンバーの融合です。水素メンテのときは通常メンテが出来ないので、当初は作業も遅くまでかかっていましたが、今はチームワークが上手く結束は高いです」といいます。
シェイクダウン時に真っ白だったボディはブルー/イエロー/ホワイトの迷彩であるルーキーレーシングカラーが施され、ボディの前後左右には「TOYOTA GAZOO Racing」のロゴも貼られています。
豊田社長は「私が両方のトップだから当たり前だと思うかもしれませんが、実は歴史的なことです。私自身が(元祖)GAZOO Racingを立ち上げたときのトヨタはトヨタロゴを使うことを許してくれませんでしたが、今はそんな垣根はありません。ルーキーレーシングとTOYOTA GAZOO Racingが組んで未来を創る、恐らく10年後の景色は変わると思います」と説明。
細かく見ると、シェイクダウン時とは異なる部分も。エンジン周りは吸気ダクトの変更やヘッド周りにパイプが追加されているのがわかります。
さらにシェイクダウン時のフィードバックと耐久テストの結果を踏まえて、エンジン回転数は500rpmアップの6500rpmに変更。
加えて、心地よいサウンドのためにエキゾーストもアップデートされています。インテリアも配線や補機がむき出しだった助手席部はカーボンパネルが貼られてスッキリした印象です。さらに水素充填時に苦労しないために、レーシングカーとしては珍しいハンドル切れ角アップもおこなわれています。
短い期間ながらもセットアップも煮詰められ、佐々木雅弘選手は「GRヤリスでの経験を元に4WDの駆動配分も活用しながらフィードバックをおこなっています。このカローラはGRヤリスよりも200kg重いですが、ハンドリングのバランスはいい所に来ていると思います」といいます。

さらにモリゾウ選手は「佐々木ドライバーを中心にモリゾウが乗りやすいように味付けしてくれています。私はテストドライバー、彼らはプロのレーシングドライバーという違いはありますが、双方が妥協なく努力と執念でクルマは変わってきています」と捕捉してくれました。
実はドライバーの1人である小林可夢偉選手はS耐初参戦です。そのため、ほかのルーキードライバーと一緒に初心者講習を受けています。
小林可夢偉選手は「僕がいちばん24時間耐久レースに出ているはずなんですけどね」と笑いながら語ってくれましたが、一緒に初心者講習を受けた別のドライバーに話を聞くと、「先頭で熱心に話を聞く、とくにFCY(フルコースイエロー)について熱心に質問をしていたので、『誰だろう?』と思ったら『えっ、可夢偉選手だ!?』」と、ビックリしていたそうです。
ちなみに今回の要ともいえる水素充填はレイアウトを含めてカイゼン、観客席からも見えるようになっています。
豊田社長は「電動車もそうですが、インフラと走るクルマの接点はあまり見られていないので、充填メンバーの耐久戦も含めてぜひ見ていただきたい部分です。ただ、これがそのまま世の中に出るわけではありません。今回はあくまでも大実験室ですから」と語っています。
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水素は、福島県浪江町にある再エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」で製造されたグリーン水素を使用。
ちなみに移動式水素ステーションで使う発電機の燃料もバイオ燃料と徹底しています。
豊田社長は「浪江ウォーター、安室奈美恵ではありません」と親父ギャグと共にアピールしていましたが、これにも理由がありグリーン水素の原料は浪江町の「水」を使っています。




























