注目のホンダ新型「アコード」に試乗 競合のドイツ車セダンに勝るポイントとは
奥の深さを感じさせる新型アコードの走り味
走り始めるととても静かなのに驚く。EVモードで走ることもあるが、エンジンがかかっていても、止まっていてもパワートレイン系からのノイズがほとんど聞こえてこない。
あまりにも静かなので、逆に後席側からタイヤのやや高めのロードノイズが耳に届いてくる。レゾネーターを組み込んだノイズリデューシングアルミホイールを採用しているが、段差などで発生するキャビティノイズは消されている。全体をホワイトノイズ化したために、ロードノイズが目立ってしまっている感じだ。
今回は青山にあるホンダ本社をベースにした都内だけの試乗だったが、燃費はなんと21.4km/Lだった。さすがハイブリッドである。これはライバル車に対してのアドバンテージだろう。
全長4900mmもある新型アコードだから、ライバルはメルセデス・ベンツ「Eクラス」やBMW「5シリーズ」などのEセグメントセダンなのかと思ったら、ホンダでは価格の面からもDセグメントを想定しているようだ。
つまり日本市場でいえば、ドイツのメルセデス・ベンツ「Cクラス」、BMW「3シリーズ」、アウディ「A4」ということだ。もちろんアメリカ市場ではトヨタ「カムリ」、中国市場ではVW「パサート」がライバルになる。
このライバルたちと比べると、ボディ剛性ではCクラス、コーナリングでは3シリーズ、インテリアではA4、室内の広さではカムリ、質実剛健さではパサートがそれぞれ有利だと思う。
では、アコードのアドバンテージはというと、それは乗り心地が挙げられる。
1日の試乗のなかで、アコードを乗り始めてすぐは、あまり良い乗り心地だとは感じなかった。サスペンションのストロークが短い感じのゆったりした感じがないと思ったのだ。
しかし何時間か乗っていくうちに、乗員が揺すられないことに気がついた。これはなかなかおもしろいと思った。一番わかりやすいのは、首都高速のカーブなどにある茶色の横断方向の帯が何本も連続した段差舗装を通過したとき。そこを走行してもクルマが揺れないのだ。
試乗後に、10代目アコードのLPL(開発責任者)である宮原哲也さんにその話を聞いた。
ひとつの段差を通過したあとに振動の余韻が残らず、すぐに収まるようにしてあるらしい。ゆさゆさと揺れるとストロークが深いと感じるが、アコードはそれがないのだ。だから試乗のはじめにストロークが短いと感じたのだと納得。ちなみにアコードの実際ストローク量は非常に長く、決してライバルに負けていないという。
ライバルたちはみなATのセレクトレバーを持っている。アコードは「NSX」と同じボタンスイッチ式だ。
これは確かに先進感が漂っているが、実際に車庫入れするときにDとRを入れ替えるシーンでは、ブラインドタッチでは難しく、いちいち目視しなくてはならない。アコードも乗り慣れればブラインドタッチでできるようになるのかもしれないが。
いずれにしろ、10代目のアコードは奥が深いクルマで、チョイ乗り試乗ではその良さはわからないかもしれない。
HONDA ACCORD EX
・車両本体価格(消費税込):465万円
・全長:4900mm
・全幅:1860mm
・全高:1450mm
・ホイールベース:2830mm
・車両重量:1560kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+電気モーター
・排気量:1993cc
・駆動方式:FF
・変速機:CVT
・最高出力:145馬力/6200rpm
・最大トルク:175Nm/3500rpm
・モーター最高出力:184ps/5000-6000rpm
・モーター最大トルク:315Nm/0-2000rpm
・公称燃費(WLTC):22.8km/L
・サスペンション前/後:ストラット/マルチリンク
・ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
・タイヤ:235/45R18
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