トヨタ新「GRヤリス」に注目! わずか1年で改良…「ステアリング&足回り」を刷新し「最新が最良」を体現! 現場とユーザーの声でさらに磨かれた「26式」の深化とは?
2020年の登場以来、「もっといいクルマ」を目指して進化を続けるトヨタ「GRヤリス」。「26式」(2026年モデル)では、新開発ステアリングやEPS制御、足まわりなどに改良を実施しました。その進化を、自動車研究家の山本シンヤ氏が一般道で試乗しました。
一般道でも伝わる深化、「最新が最良」を実感
走り出してまず驚かされるのが、GRステアリングのフィット感です。従来より革の触感は若干硬めですが、煮詰められた断面形状は、軽く手を添えるだけで自然に馴染みます。
加えて、ステアリングスイッチのレイアウト変更によって、手のひらを理想的な位置に置けるようになったことで、操舵時の押し操作もより自然になりました。操作性が増したことで、操舵レスポンスも確実に向上しています。

今回は一般道試乗のため、高負荷時のEPSアシスト変更までは体感できませんでしたが、ノーマルモード時のEPS制御は、単に軽くなっただけではありません。
フリクション感の少ないスッキリとした操舵感(ステアリング小径化で慣性が減った)、そしてより濃厚な直結感(タイヤ変更の効果)などから、「扱いやすいのに対話性が増した」フィーリングと言えるでしょう。
フットワークは、「ミシュラン→ポテンザだから結構変わるかな?」と思いきや、基本的には25式とほぼ同じ印象でした。
ポテンザ特有のネットリしたグリップ感や鋭い操舵レスポンスを予想していましたが、実際にはサラッとしたグリップ感と穏やかな操舵レスポンスで、「ミシュランっぽいポテンザだな」と感じました。
開発ドライバーの大嶋和也選手にその印象を伝えると、「PS4Sの良いところを踏襲しながらも、『ここがこうだったらいいよね』という課題を、BSさんと一緒に作り込みました」と教えてくれました。
タイヤに合わせて最適化されたサスペンションは、まるでバネ下が軽くなったかのような軽やかな足の動きと、より軽快なレスポンスを実現。
さらに、エアロパフォーマンスパッケージなしでも、高い接地性と直進安定性を両立しています。
タイヤ重量自体はPS4Sより重いそうですが、フィーリングが逆に感じられたのは、タイヤとダンパーに加え、操作性が向上したステアリング、そしてEPS制御のバランスが高い次元で噛み合っている証拠と言えるでしょう。
25式のハンドリングを、筆者は以前「全体的に緊張していた筋肉がほぐれた」と例えましたが、26式は「ほぐれた筋肉に、さらにしなやかさが増した」印象です。
結果として、全開走行をしていない日常域でも、「気持ちいいよね」「一体感あるよね」と感じられる走りを実現しています。
GRヤリスは「戦うクルマ」なので、絶対性能を落とすことは決してありません(全開走行は、どこかで必ず試します)。
ただ、「GRカローラ 25式後期」と同じように、走りの本質を極めたからこそ辿り着ける「駆け抜けなくても感じられる喜び」が増したのかなと感じました。
乗り心地については、入力の角が少し丸くなり、ショック吸収時も従来モデルよりストロークを使って減衰させている印象(しなやかさがある)で、乗員に伝わる衝撃や振動が抑えられ、快適性はわずかながら向上しているように感じました。

そろそろ結論にいきましょう。26式の仕上がりを見る限り、「伸びしろに納得」「最新が最良」であることは疑いようがありませんし、進化の方向性もまったくブレていません。
25式の記事で筆者は、「GRヤリスの進化は、ワインが熟成して味わい深くなっていく感覚に近い」と書きましたが、26式の出来は「味は濃いけれど、後味はスッキリ系」といった印象でしょうか。
ただ、今回も26式であることが一目でわかる“アイコン”や“アクセント”がないのは残念です。
これは25式GRヤリスの時にも述べましたが、「従来モデルから思わず買い替えたくなる魅力」や、「中古車になった時の道しるべ(価値につながる)」は、スポーツカーにとって機能と同じくらい大切な要素だと筆者は考えています。
このあたりは、4WDスポーツの先輩たち―ランチア「デルタ HF インテグラーレ」や三菱「ランサーエボリューション」、スバル「WRX STI」を、もっと見習ってほしいところです。
24式のリアルユーザーの一人としては、「車検前に愛車がもう2世代前のモデルになってしまったのね」と思うところもありますが(汗)、“もっといいクルマづくり”にゴールはありません。
開発陣の皆さん、今後もモリゾウさんとプロドライバーと共に、ガンガン進めてください。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。



























































































