ホンダ“新型ファミリーSUV”「CR-V」どんなクルマ? “独自開発”の「ハイブリッド」がイイ? FFと4WDの差は? 4年ぶりの復活遂げた“6代目”どんなモデルに仕上がったのか
ホンダは2026年2月27日に6代目となる新型「CR-V」の国内販売を開始しました。4年ぶりの国内市場投入となったCR-Vの実力を山本シンヤ氏がレポートします。
4年ぶり復活のCR-Vの実力は?
2026年3月12日、電動化の大幅な見直しを発表したホンダですが、「BEVの原資をHEVで稼ぐ」と言う方針はブレていません。
そんな中、6代目となる「CR-V」が登場しました。厳密には2024年にFCEVが限定的に発売されましたが、今回は主力となるHEVモデルです。
CR-Vは1995年に初代が登場。当時はSUVではなく「クリエイティブムーバー」と呼ばれていました。当初は国内専用モデルでしたが、海外からのリクエストに応じて左ハンドルを設定。2代目以降はグローバルモデルとして「シビック」/「アコード」と並ぶ世界戦略車に成長しますが、日本市場では大苦戦……。
その結果、グローバルでは2022年に6代目が登場しますが日本市場は未導入。しかし、SUV人気にも関わらずライバルに対して手薄だったラインナップ強化のために、遅ればせながらも日本導入となりました。ちなみにCR-Vは世界各国で生産されていますが、日本向けはタイ製となります。
エクステリアはキープコンセプトながらも、無個性だった従来モデルに対してスポーティさが増した印象ですが、個性派揃いのライバルと比べてしまうと……。この辺りはニューモデルですがデビューから4年が経過している辛さが出てしまっています。

ちなみにRSは各部をボディ同色にする事で都会的、上級のRSブラックエディションはクラッディングをはじめとする専用ブラックパーツでアクティブな印象とキャラ分けはできているも、ユーザー目線だと「どちらもRSだと解りにくい」が本音です。
個人的にはRSブラックエディションは違うグレード名の方が良かったかな……と。ボディサイズは全長4700(+95)mm×全幅1865(+10)mm×全高1680(±0)mm、ホイールベース2700(+40)mmと少しだけ拡大しています。
インテリアは他のホンダ車と同じく水平基調のクリーンなインパネ周りが特徴。機能的で直感操作が可能なのは嬉しいですが、SUVシリーズ長男坊に相応しい「+α」が欲しいと思う所も。
装備面はGoogleインフォテイメント(12か月の無料期間以降は有料)、BOSEプレミアムサウンドシステム、インテリジェントエアコンなどほぼフルスペックですが、シートベンチレーション/ヘッドアップディスプレイはRSブラックエディションのみ、ステアリングヒーター/リアシートヒーターは4WDのみと、ユーザー目線だと「なぜ、そこを分ける?」と言う疑問もあります。
これについて開発者に聞くと「価格を考慮して」との事でしたが、個人的には「より割り切る」もしくは「兄貴分だからケチらない」のどちらに振ったほうがよかったと思いました。
パワートレインは2モーター+電気CVTのe:HEVですが、アコード譲りの高出力モーターを平行軸に置いた“第4世代”をベースにHI/LOの2段直結ギア(トーイングを考慮)+専用ギアレシオ採用のCR-V専用スペックとなっています。
発進時の力強さ(トルクが315→335Nmに向上)とEVモードの粘り強さ、リニアシフトコントロールの自然さと機械的に直結していないのに直結感を持つダイレクト感(HEVモード)、そしてエンジン車のような爽快で伸びのある加速などは、トヨタのTHSII、日産のe-POWERにはないホンダの個性であると同時に、クルマ好きも納得のハイブリッドに仕上がっています。
中でもドライブモード・スポーツを選ぶとASC(アクティブ・サウンド・コントロール)の効果も相まって、フィーリングは「バランサーシャフト付のK20A」に近く、感応的ですらあります。
ちなみにHI/LOの2段直結ギアの切り替えは運転していて気付く事はなく、エネルギーフローの表示(ギアのアイコン)でしか解らず。つまり、走行シーンに応じて「エンジンのいい所」、「モーターのいい所」をより緻密に制御していると言うわけです。
静粛性はノイズリデューシングホイールや遮音材・吸音材の最適配置、エンジンマウントの最適化、風切り音対策、ANC(アクティブ・ノイズ・コントロール)などの合わせ技により、従来モデルよりも大きくレベルアップしています。
ただ、ドライブモード・ノーマル時はCR-Vのキャラクターを考えるとエンジンの“主張”はもう少し抑えたい所です。
フットワークはどうでしょうか。プラットフォームは従来モデルを踏襲するもボディ開口部や結合部への構造用接着剤適応やスティフナー(リア周り)の追加で剛性アップ。ステア周りのフリクション低減と電動パワステ最適化&VGS(可変ギアレシオ)の採用、サブフレーム/支持マウントの高剛性化、周波数感応型ダンパー採用などが行なわれています。タイヤは235/55R19サイズのミシュラン・ラティチュードスポーツを履きます。
操舵力が若干重めのステアリングやボディサイズ/車両重量を感じさせない軽快なクルマの動きなどに“ホンダらしさ”を感じますが、その一方で「ZR-V」や「ヴェゼル」では感じなかった“古さ”を感じてしまったのも事実です。
誤解してほしくないのは機能的にNGではなく感覚的な部分での話です。日本では2026年デビューですが基本設計は2022年なので、その辺りの要因(電子PFや制御ロジックの世代が古い!?)もあるのかな……と。
ちなみに駆動方式によって若干乗り味の印象は異なります。FFはステアリング操作でノーズがスッとインを向きグイグイと曲がるRSらしいスポーティなハンドリングと、若干突っ張り感を感じるも入力をシュッと素早く減衰させるスッキリ系の乗り心地。
一方4WDはノーズの入りはFFより若干穏やかですが旋回軸がFFより後ろにある感覚とリアからの押し出し(前後駆動配分は最大50:50まで可変)も相まって、ステアリングで曲げると言うより4輪全体で曲がる感覚が強いRSと言うよりモデューロXのようなハンドリングと、フリクションの少ない足の動きで入力を「スーッ」と時間をかけて減衰させるシットリ系の乗り心地です。
開発者は「駆動方式で走りは分けていません」と言いますが、車両重量だけでなく前後の重量バランス、更には4WD制御(走破性とコーナリング性能を両立させる駆動配分)の違いが、走りの違いに出ているのでしょう。個人的にはCR-Vのキャラクターを考えると4WDのほうがマッチしていると感じました。
運転支援デバイスはRSブラックエディションに進化版となる「ホンダセンシング360」を装着。ホンダセンシングの3レーダー1カメラに対して、5レーダー1カメラで検知範囲の拡大により支援シーンを拡大。
今回はACC(追従精度アップ)/LKAS(センタリング・外乱抑制機能向上)と合わせて「車線変更支援機能」をテスト。高速道路走行時にメーター内のアイコンが表示されるとスタンバイ、ウインカーで作動するのは他メーカーと同じですが、操作→支援の速さはピカイチ。メーター表示(HUDも含む)も解りやすいので、より積極的に使えるはずです。
そろそろ結論にいきましょう。細かい部分で気になる所はありますが、総じて言うとホンダのSUVラインナップの中で最もオールラウンダーなモデルに仕上がっています。
ただ、個人的にはもう少し「長男らしさ」を持たせてもよかったのかな……と。それは何か……カジュアルな「WR-V」、デザインコンシャスなヴェゼル、スポーティなZR-Vと来れば、CR-Vはファミリーかなと(プレステージは北米からやってくる「パスポート」がカバー)。
今のファミリーは多様性なのでスポーティなRSだけでなく、よりアクティブな、よりラグジュアリーなグレードも欲しくなりますよね。まずはシッカリ売る事が大事だと思いますが、今後の展開に期待したい所です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。














































































