デンソー、2030年に向けたビジョン「CORE 2030」発表! 注目の「走行中給電」の進捗は? EVの課題解決、29年度目指す
デンソーは2026年3月31日、中期経営計画「CORE 2030」を公開しました。そのなかでEV普及の障壁とされる「航続距離」と「充電時間」に対し、同社は2029年度の市場投入を目指す「走行中無線給電システム」で挑んでいる取り組みに関する進捗を報告しました。
中期経営計画「CORE 2030」発表。走行中給電でEVの課題を解決へ
デンソーは2026年3月31日、2030年に向けた新たな経営指針となる中期経営計画「CORE 2030」を発表しました。
当日は会見と合わせて、技術・モノづくりをテーマとした説明会も開催。次世代のモビリティ社会を支える基幹技術として「走行中無線給電システム」の詳細が明かされました。
電気自動車(EV)が抱えるバッテリー重量やインフラの課題を根本から変えうる、同社の挑戦が本格化しています。

デンソーが掲げる2030年の中期経営計画「CORE 2030」は、「モビリティから広がる未来社会を人の可能性で実現する企業」を目指す姿として定めています。
同社はこの実現に向け、環境負荷の低減と、交通事故死亡者ゼロを目指す「安心」の二軸を価値提供の中心に据えています。
成長戦略の柱としては、モビリティの多様化に応える商品づくりの強化、AIと現場の実践知を融合させたモノづくりの革新、そして新たな価値創出をけん引する人づくりとパートナー共創の3点を掲げました。
財務目標においては、2030年度に売上高8兆円以上、営業利益率10%以上、自己資本利益率(ROE)11%以上という指標を設定しています。
2026年度から2030年度までの5年間で、事業投入として6兆6000億円、そのうち研究開発に3兆7000億円を投じる計画です。
この大規模な投資のなかで、特に注力される領域の一つが電動化と知能化であり、これらモビリティ領域の売上高は4兆円規模に達することを見込んでいます。

◆ EVの課題を打開する無線給電技術
電動化の進展において、現在のEVにはいくつかの課題が残されています。
執行幹部で研究開発部長を務める八束真一氏は、現在の取り組みについて「電気自動車の電池の重量や、航続距離などの課題に対して、大きく発想を転換した『走行中無線給電』というものに今挑戦しています」と語りました。
大型トラックの場合、1000km未満の走行距離を確保するために、車両重量のうちバッテリーだけで5トン以上を占めるケースもあります。
こうした現状に対し、同氏は「インフラをずっと引いていけば行くほど、電池は小さくできますし、航続距離の不安もどんどん減っていきます」と、システムのメリットを強調しました。
この「走行中無線給電システム」は、道路インフラと車両が連携し、走行しながら電力を供給することで、電池サイズの最適化と航続距離の不安を同時に解消することを目指しています。
システムが普及すれば、理論上は「無限に走行可能」となり、充電のために停車する時間はゼロになります。
走行中無線給電の仕組みは、道路側に埋設された送電コイルから、車両底部の受電コイルへと非接触で電力を送るものです。
技術的な特徴について、八束氏は「給電された電気は、最初にバッテリーに入れるのではなく、走るためのインバーターやモーター、あるいはエアコンなどの駆動系に直接供給します」と説明しました。
余った電力をバッテリーに蓄え、足りない分をバッテリーから出すという制御を行うことで、「バッテリーの使用頻度を下げ、寿命を長くしていくことが可能です」としています。
現在、デンソー内のテストコースでは実証実験が進められており、受電システムを搭載した車両での走行テストが行われています。
実験では、200mのトラックのうち40mにコイルを設置した条件下で、バッテリーの残量(SOC)を維持したまま500km以上の走行に成功しました。
また、受電効率についても「現状は85%程度の効率ですが、低速から時速130kmまで、ほぼ同じ効率で受電できます」と、高速走行時でも安定した性能を発揮することを明かしました。

社会実装に向けた最大の課題はインフラ整備のコストですが、八束氏は戦略的な敷設による解決策を提示しました。
同氏は「一般道のわずか2%程度に敷設すれば、行きたい場所へはほぼ行けるようになるという試算があります」と述べ、特に交差点の手前など、車両の滞在時間が長い場所に重点的に配置する効率的な手法を紹介しました。
デンソーは2027年度以降に公道での実証実験を開始し、2029年度の市場投入を目指して開発を加速させています。
今回の「CORE 2030」は、単なる移動手段としての自動車の進化にとどまらず、都市全体のエネルギーマネジメントを最適化し、社会課題の解決に寄与することを見据えています。
走行中無線給電という革新的な技術が、2030年に向けてモビリティの景色をどのように変えていくのか、今後の展開が注目されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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