日産の斬新「6人乗りセダン風“ミニバン”」! スライドドア×ピラーレスの「超大開口」で乗り降りがラクチン! 「豪華内装」や“日本の伝統デザイン”を採用した「セレニティ」ってどんなクルマ?

2003年の東京モーターショーで日産が披露した「セレニティ」は、セダンとミニバンの魅力を融合した革新的な一台です。その特徴や現在に続く影響を詳しく紹介します。

日本文化を取り入れた独創的デザイン

 近年、自動車業界では電動化や自動運転といった技術革新が進む一方で、「移動空間そのものの価値」を見直す動きも強まっています。

 単なる移動手段ではなく、快適性やデザイン性、さらには乗員一人ひとりに寄り添った空間づくりが重視されるようになってきました。

 こうした流れを振り返ると、すでに2000年代初頭の段階でその方向性を示していたモデルが存在します。

 そのうちの一台が、日産が2003年に開催された「第37回東京モーターショー」で公開したコンセプトカー「セレニティ」です。

大開口のドア構造により、乗り降りのしやすさと開放感を両立
大開口のドア構造により、乗り降りのしやすさと開放感を両立

 このモデルは、セダンとミニバンという異なるカテゴリーの魅力を融合させたMPV(マルチパーパスビークル=多目的車)として企画されました。

 セダンが持つ走りの良さや高級感と、ミニバンならではの広い室内空間や利便性を両立させるという発想は、当時としても非常に先進的なものでした。さらに「日本のDNA」をテーマに掲げ、日本文化に根付く静けさや美意識をデザイン全体で表現している点も大きな特徴です。

 外観デザインには、日本的なモチーフが巧みに取り入れられています。たとえばフロントフェイスは歌舞伎の隈取を思わせる造形となっており、力強さと繊細さを同時に感じさせます。

 サイドウインドウは扇子をイメージした独特の形状で、クルマ全体に流れるような動きを与えています。

 そして、このクルマの大きな特徴の一つがドア構造です。フロントは一般的なヒンジドア、リアはスライドドアを採用し、さらに中央のBピラーをなくすことで、両方を開けた際に非常に広い開口部が生まれます。

 この設計により、乗り降りのしやすさが大幅に向上しており、車いす利用者にも配慮された構造として評価されています。加えて車高が低めに設定されていることも、乗降性の良さに寄与しています。

 さらにインテリアに目を向けると、水墨画や桜、波模様といった日本文化を象徴する要素からインスピレーションを得たデザインが随所に施されており、単なる移動空間ではなく、心を落ち着かせる空間としての価値が追求されていました。

 特に注目すべきなのが、快適性を追求したシート設計です。オットマン付きの「ストレスフリーシート」は人間工学に基づいて設計されており、長時間の乗車でも疲れにくい構造となっています。

 シートバックが中折れすることで自然な姿勢を保ち、体圧を分散する仕組みが取り入れられているため、腰への負担も軽減されます。

 操作系にも独自の工夫が見られます。長方形に近いステアリングの内外に4つのスイッチを配置した「マジック4コンセプト」は、ドライバーが手を大きく動かさずに各種操作を行えるよう考えられたものです。

 また、液晶ディスプレイと有機ELディスプレイを組み合わせた「ホリゾンタルメーター」は視認性と先進性を両立しており、当時の技術水準を大きく先取りしていました。

 さらに、ウッド素材を取り入れたインストルメントパネルなどにより、先進的でありながら温もりも感じられる空間が実現されています。

 パワートレインには3.5リッターV型6気筒「VQ35型」エンジンが搭載され、トランスミッションにはエクストロニック式CVTが組み合わされていました。これにより、力強さと滑らかな走行性能の両立が図られています。

※ ※ ※

 発表から約23年が経過した現在でも市販化は実現していませんが、その思想は無駄にはなっていません。

 たとえば現在の日産車に採用されている「ゼログラビティシート」には、セレニティのシート設計と共通する考え方が取り入れられているとされています。

 このように、コンセプトカーとしての役割を超え、市販車開発にも影響を与えた存在といえるでしょう。

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Writer: くるまのニュース編集部

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