潜在整備士の活用へ 業界横断の協議会が発足し、持続可能な整備体制構築を目指す
深刻な人手不足を抱える自動車整備業界の課題解決に向け、資格を持ちながら現場を離れている「潜在整備士」の活用を目指す「潜在整備士活用推進協議会」が2026年5月21日に発足しました。業界横断でリスキリングやDX支援を推進し、持続可能な整備インフラの構築を図ります。官民連携による新たな取り組みです。
潜在整備士数十万人と深刻化する整備人材不足を業界横断でつなぐ「潜在整備士活用推進協議会」が設立
自動車整備士の人手不足を解消するため、資格を持ちながら現場を離れている「潜在整備士」の活用を推進する「潜在整備士活用推進協議会(MWL)」が2026年5月21日に発足しました。
国土交通省などをオブザーバーに迎え、リスキリングやDX支援を通じて業界全体の課題解決と持続可能なインフラ構築を図ります。

日本のモビリティ社会を支える自動車整備業界では、人材不足が深刻な構造的課題となっています。
整備士の有効求人倍率は約5.45倍に達し、現場の担い手不足は解消のめどが立っていません。
この状況を打開するため、資格を保有しつつも現場を離れている数十万人の「潜在整備士」と人手不足の現場をつなぐ目的で協議会が設立されました。「整備の力を、最適な現場へ。」を理念に掲げ、業界横断の仕組みづくりを推進していくとしています。
現在の自動車整備インフラは、人材不足の常態化とデジタル化(DX)の遅れという複合的な課題を抱えています。
有効求人倍率が全産業平均を大幅に上回るなか、整備士の平均年齢も上昇しており、各地で車検や修理の予約が数ヶ月待ちとなる事態が発生しています。
また、見積もり作成や部品発注、請求管理といった業務が依然としてアナログで行われていることが多く、これが現場の整備士を疲弊させる要因となっています。
限られた人材の生産性が低下することで、車両の安全性維持が困難になるだけでなく、物流の停滞や交通事故リスクの増大につながる社会課題となっています。
これらの課題を解決する鍵となるのが、国内に数十万人規模で存在するとされる「潜在整備士」です。
しかし、これまで転職や育児、介護、体力面といった現場を離れた理由や、復帰に必要な条件などの実態は十分に調査されておらず、ブラックボックス化していました。
潜在整備士が再び活躍するためには、定量・定性の両面から実態を把握し、現場と接続する仕組みが必要です。
しかし、電気自動車(EV)や先進運転支援システム(ADAS)など技術の高度化に対応するリスキリングの機会提供や、短時間勤務・業務委託といった多様な働き方の受け皿整備は、個別の企業や団体の努力だけでは限界があります。そこで、人材の発掘・再教育・適正配置を実現するハブ機能として本協議会が設立されました。
協議会では、実態の解像度を高めることを出発点とし、以下の4つの支援活動を展開します。
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1.復帰・活躍支援(リスキリング)
EV、ADAS、OBD診断など最新技術に対応した標準研修プログラムを開発・提供し、円滑な現場復帰の環境を整えます。
2.オペレーションDX支援
見積もりや部品発注などの効率化・自動化を支援し、整備士が専門業務に専念できる水平分業モデルを推進します。また「出張整備」「助っ人整備士(スポット活用)」など新たな就業形態の標準化に取り組みます。
3.現場サポート体制の強化
熟練整備士によるリモートサポートとAIエージェントを組み合わせたハイブリッド型支援体制を構築し、参加事業者が活用できる仕組みを提供します。
4.ルール作り・環境整備
既存業界と連携して品質ガイドラインの策定や保険制度の設計を行います。「訪問特定整備制度」の活用促進や、整備士の待遇改善に向けた政策提言も実施します。
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2026年5月21日時点で、ディーラーや整備工場、IT企業、フリート管理企業など全16社(出光興産、NTP名古屋トヨペット、オリックス自動車、住友三井オートサービス、Seibii、タステック・レンタリース、D&Dホールディングス、デンソーソリューション、東京センチュリー、ナルネットコミュニケーションズ、日本カーソリューションズ、バンクレンタカー、ファクトリーギア、北海道三菱自動車販売、三菱オートリース、リブ・コンサルティング)が正会員として参画しています。
オブザーバーとして参画する一般社団法人 日本自動車整備振興会連合会の島雅之専務理事は、「自動車整備士は、自動車の高度化・電子化が急速に進む中、整備ツールやAIのみでは対応できない存在として益々重要となっています。一方で、ともすれば整備士に魅力を感じずに他の業種を志向する方々もおられます。熱意ある者が集まり、潜在整備士と呼ばれる人たちにとって、これらの方々に魅力ある整備士活躍の場を作り提供していくことを目指す本協議会の創設に賛同し、必要な取り組みを進めてまいります」とコメント。
また、会長を務める株式会社Seibiiの千村真希代表取締役は、従来の「1社で全てを抱える」発想から転換し、テクノロジーや分業を前提とした新しい整備インフラの必要性を指摘。
株式会社バンクレンタカーの小熊浩代表取締役社長は、潜在整備士が誇りを持って戻ってこられる温かい業界を築きたいと意気込みを語っています。
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協議会は正式発足後、2026年7月までにキックオフミーティングを実施し、同年12月までにアライアンス部会の活動を開始します。
そして2027年3月には、「潜在整備士」の実態に関する詳細な調査結果の発表を予定しています。持続可能な整備体制の構築に向け、官民および業界を横断した活動が本格化します。
Writer: くるまのニュース編集部
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