スバルの新たな「6気筒エンジン搭載のBRZ」に注目! 超パワフル「ツインターボ化」で“ダウンサイジング”廃止!? 名車「アルシオーネSVX」のユニット搭載した「GTマシン」に期待

スバルは「東京オートサロン」で、水平対向6気筒エンジンを搭載する「BRZ」GT300レースカーを公開しました。搭載されるユニットは、かつて販売されていた「アルシオーネSVX」のものをベースとしていますが、なぜこのユニットを採用したのでしょうか。

なぜいまアルシオーネSVXの「6発エンジン」を採用?

 スーパーGT選手権(SUPER GT)の「GT300」クラスにて、2012年より「BRZ」で参戦するスバルは、2026年シーズンより、性能向上を目指した新エンジンを投入することを発表し、新エンジン搭載車両を公開しました。
 
 そのエンジンとは、なんとバブルが生んだスペシャルティクーペ「アルシオーネSVX」のものがベースと明かされたことが大きな話題となっています。

 なぜ戦闘力アップが、往年の名機の復活に繋がったのでしょうか。

 スバルは、2026年1月9日に開催されたカスタムカーの祭典「東京オートサロン2026」にて、「STI(スバルテクニカインターナショナル)」と共に、今年のモータースポーツ活動計画を発表しました。

 その柱のひとつであるSUPER GTのGT300クラスの継続参戦を表明するなかで、大きな話題となったのが、参戦マシンのポテンシャルアップでした。2026年シーズンのマシンは、BRZであることは同様ですが、新エンジンを搭載することが明かされました。

 これにより、長年スバルのモータースポーツシーンで活躍してきた2リッター水平対向4気筒ターボエンジンの「EJ20」型が第一線より退くことになりました。すでに市販車への搭載は終了しているため、ファンには寂しい話題かもしれません。

水平対向6気筒エンジン搭載の「BRZ」がGTで活躍へ
水平対向6気筒エンジン搭載の「BRZ」がGTで活躍へ

 しかし、ライバルが日々進化を続けていくなかで、競争力の向上は必至です。

 EJ20型に代わる新たなエンジンは、排気量の拡大と多気筒化を図ることを目的に、3リッター水平対向6気筒ツインターボエンジンが採用されます。

 この排気量拡大の狙いは、出力の向上だけではありません。排気量が大きいエンジンならば、同じ出力をより低い回転数で得られるので、加速レスポンスだけでなく、燃費の向上も繋がるためです。

 これは最新のエンジンが、排気量を落として高効率化を目指した「ダウンサイジング」から、排気量を落としすぎずに適正な排気量とすることで高効率化を目指す「ライトサイジング」へと思想が変化したことが、最も分かりやすい例といえるのではないでしょうか。

 SUPER GTでは、市販されたエンジンをベースとすることが大前提なのですが、最新のスバル車に6気筒エンジンは存在しません。

 そこで白羽の矢が立ったのが、1991年に発売された上級スペシャルティクーペ「アルシオーネSVX」に搭載された3.3リッターの「EG33」型だったのです。

 新エンジンが4気筒ベースでないのは、まず3リッター以上の排気量にしたかったことが大きな理由。4気筒のまま排気量をアップするのでは、戦うエンジンとして「ボア×ストローク」が大きすぎるので、大排気量化のデメリットが生じてしまいます。

 そこで既存の6気筒エンジンからベースを選ぶことになりました。スバルの6気筒エンジンは、初代「アルシオーネ」に搭載された「ER27」型、そしてアルシオーネSVXに搭載されたEG33型。

 さらに、「レガシィ」シリーズなどに搭載された「EZ30」型と「EZ36」型が存在します。当然、より設計が新しいEZ30ならば、話が早いのではと思ってしまいますが、ここで重要なのが、EG33型の生い立ちです。

 実は、EJエンジン全盛期に開発されたEG33型は、簡単にいえば、EJ20型エンジンに2気筒を追加して6気筒化したものなのです。

 そのため、エンジンシリンダーのストロークも同じ75mmで、当時もピストンの納めるボアピッチを拡大して、1つのシリンダーの排気量を拡大していました。

 そのため、長年4気筒のEJ型で培ったノウハウが活かせるだけでなく、戦うエンジンだったEJ型の強みもしっかり受け継いでおり、レースでの信頼性に繋がるブロック強度が高いという特性を持っています。

 そこで新エンジンでは、EG33型のエンジンのコアとなるブロックを新規に製作。ターボ化を始め、各部が専用開発されています。そのため、全く別物ともいえるアップデートが加えられているのです。

 まず自然吸気(NA)からツインターボへと変更したことを始め、燃料噴射を直噴化。エンジンの空気の流れも、下方吸気の上方排気とするなど、ベースエンジンと異なる点が多いのです。

 その結果、低重心化だけでなく、従来の4気筒のEJ20型と比べても、重量バランスには大きな変化がないとしています。

 すでに走行テストを済ませた参戦ドライバーの井口 卓人選手は、ターボラグを解消する「アンチラグシステム」が非装着なのに低速からの加速が良いことや、エンジンのレスポンスポンスに優れることなどを評価が高く、他のドライバーからも乗りやすいなどポジティブな意見が多いそう。

 もちろん参戦時には、レースのルールから出力調整などが行われますが、エンジン特性が変わることはないので、コーナーからの立ち上がりや追い越し加速などに、新エンジンの活躍が期待できそうです。

 関係者によると、EJ20型も現役といえる性能を示してきたものの、限界が迫ってきていたのも現実だったそう。そこで排気量アップと多気筒化した新エンジンで、先を見据えた開発をすることで、レース活動を支えていく決断をしたとのこと。今年のスバルの活躍には大いに期待したいところです。

 気にあるのは、モータースポーツシーンで復活した水平対向6気筒が、市販車に与える影響でしょう。残念ながら、この動きが市販モデルの6気筒化にはつながることはないとのこと。

 しかしこれまで同様に、レースで得た知見は市販車にフィードバックしていくとのことですから、より走りや燃費が磨かれたスバル車の登場を期待しましょう。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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