トヨタ斬新「“一人乗り”軽トラ!?」世界初公開! 新発想の「安価×超シンプル構造」でカスタム&修理ラクラク! 悪路にも強い「未完成モビリティ」IMVオリジンの狙いとは!
2025年10月29日に開催された「ジャパンモビリティショー2025」のトヨタブースで世界初公開されたコンセプトカー「IMV Origin」とは、一体どのようなモデルなのでしょうか。
トヨタ 斬新すぎる「未完成モデル!?」世界初公開!
2025年10月29日に東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催された「ジャパンモビリティショー(JMS)2025」。
そのトヨタブースで世界初公開された、一台のユニークなコンセプトカーが注目を集めています。
一体どのようなモデルなのでしょうか。

一見「未完成の軽トラック」にも見えるそのモデルの名は、新型「IMV Origin(IMVオリジン)」。
アフリカをはじめとする新興国の未来を見据えたモデルで、トヨタが「土台」のみを提供し、上部構造は現地のニーズに応じて自由にカスタマイズしてもらうという、革新的なコンセプトに基づいて開発されました。
この取り組みの背景と狙いについて、開発を担当した太田博文氏に詳しく話を聞いたところ、プロジェクトの根底には、アフリカの農村部などが抱える切実な移動の課題があったと言います。
同地域では、都市部ではクルマが普及し始めているものの、農村部では依然としてバイクが移動や仕事の主な手段となっています。
しかし、バイクで運べる農作物・荷物の量や距離には限界があるため、「荒れた道を走れる“手頃なクルマ”が無い」という制約によって、生活を豊かにするチャンスを多くの人々が奪われている。そんな現実があるのです。
この状況を少しでも解決できないかと考えたトヨタは、「人々が安心して乗れるクルマの、シャシーや運転席といった“土台”までを、トヨタが開発・提供する」という新しい発想にたどり着きました。
そして最大の革新性は、土台を作ったその先、すなわち「上物(上部構造)を提供しない」点にあります。
つまり、トヨタはあえて「完成車」を提供せず、運転席から後ろの部分は、現地のニーズに応じて現地の人々が現地で調達しやすい材料や方法を用いて、自由に造れるようにするということ。
これにより、長いサトウキビを運ぶなら荷台を長くし、人を運ぶなら椅子を取り付けるなど、その土地や暮らしの変化に合わせてクルマ自体が柔軟に姿を変えていくことが可能になります。
これこそが、「未完成モビリティ」IMVオリジンの狙いです。
そして、このようなIMVオリジンのコンセプトは、過去のJMSで話題となった「IMV 0(IMVゼロ)」に近いものを感じますが、太田氏はターゲットの違いを強調します。
IMVオリジンを開発する発端となったアフリカ農村部では、バイクが移動手段のメインとなっているため、IMVオリジンは圧倒的に安価にしなければなりません。
また、アフリカの狭い道に対応するために、IMV 0よりもさらに小型化する必要があります。
そしてこれらと同時に重要視されたのが「修理のしやすさ」です。
現地にはディーラー網など無いため、「片道30km先でクルマが壊れたら自分で直すしかない」という現実があるのです。
そのためIMVオリジンは、走る・曲がる・止まるといった基本機能に絞ったシンプルな構造を持ち、悪路走行に耐えるため最低地上高を高く設定。
くわえて可能な限り「汎用部品」を使用することで、現地でも工具キットさえあれば、溶接での修理や改造ができる設計を目指しました。
これは、私たちが知る従来の「完成車」の概念とは全く異なる発想でしょう。
そしてトヨタが「土台」だけを提供するのには、現地に根付く産業との「共創」という深い狙いもあります。
太田氏は、「現地にはクルマの修理が得意な人々がたくさんいる。彼らの技術とこの土台が組み合わさることで、単なる修理に留まらず、新しい事業やサービスが生まれることを期待している」と語ります。
トヨタは、「完成品を押し付ける」のではなく、「現地の人々が『やりたいこと』を実現するため、『一緒に何ができますか?』と問いかける」という姿勢で、現地の産業と共に未来を創造していくことを目指しているのです。
ちなみにパワートレインについては、現在はBEV(電気自動車)をイメージしていますが、インフラが未整備な地域ではガソリン車も必要となるため、まずはどちらの動力も搭載できるプラットフォームを造ることがスタートだと言います。
このIMVオリジンは、10年、20年という長い時間をかけて、その土地の社会や人々の暮らしと共に変化し、成長していくクルマとなるでしょう。
Writer: くるまのニュース編集部
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