レクサスの「“最上級”SUV LX」どんなクルマ? 史上初「ハイブリッド」設定で「リッター10km」以上も走れる!? 正真正銘の旗艦モデル「LX700h」“フツーに使って”わかった凄さとは【試乗記】
「ハイブリッド化」の恩恵はあるか?
今回編集部が試乗したのは、LX700hのうち、専用色やブラックパーツなどをあしらい、フロント・リアのデフロックや専用タイヤで悪路走破性をさらに高めた「OVERTRAIL+(以下、オーバートレイル)」です。
数日間の取材の“足”として活用し、その実力を試してみました。

オーバートレイルのデザインは、通常のラグジュアリー感あふれるLXとは少し異なり、アクティブな世界観が強調されています。
エクステリアカラーはオーバートレイル専用のベージュ系の「ムーンデザート」。近年はこうした“アースカラー”が流行していますが、ムーンデザートはソリッドではなくメタリックとなっており、周囲のアースカラー系SUVとは違う輝きを放ち、都会にいても目立つ存在です。
これにグロスブラックの専用グリルやドアハンドル、ホイールアーチモールなどを備え、さらにホイールも22インチから18インチにサイズダウンして扁平率を高くしたことで、高級SUVのキャラクターは変えずに、よりアウトドアにマッチしたスタイリングとなりました。
インテリアも専用の「モノリス」で、ダークグレーとカーキの2トーンのコーディネーションに、落ち着いたブラックの「アッシュ」ウッドパネルを組み合わせ、上質感とオフローダーらしい堅牢感を表現しています。
フラッグシップモデルであるLXに、こうした専用装備を組み合わせることで、また違った特別感を感じられ、旅の高揚感が一気に高まります。
![レクサス最高峰SUV「LX700h オーバートレイル+」のインテリア[モノリス]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/09/20250930_lexus_lx700h_overtrail_014.jpg?v=1759213327)
室内空間の広さは十分で、前席をドライビングポジションにしておけば、2列目の足元はたっぷり残ります。リアは左右でエアコンの独立調整が可能で、しかもシートベンチレーションも装備。
また試乗車にはリアシートエンターテインメントシステム(28万4900円/消費税込み、以下同)も備わっており、ショーファーカーではない3列シート・7人乗り仕様でしたが、後席でゆったりとくつろぐ移動も可能です。
後席にゲストを乗せるときも快適な空間に終始満足だったようで、日常使いでも心地よく移動ができます。
いっぽうラゲッジはLX600とは違い、バッテリー積載の関係でフロアから20cm程度の大きな段差が生じています。荷室幅も狭まり、バッテリーの存在を強く感じます。
これに対しては、段差をなくす「フレキシブルデッキボード」を装備しており、3列目シート格納状態でこのデッキボードを活用すれば、フラットなスペースを創出することができます。5人分の荷物であれば、何ら問題はなさそうです。
2列目をたたんだ場合、フレキシブルデッキボードによってラゲッジ後端から2列目バックレストまでが一律でフラットになるため、車中泊も可能。むしろ長尺物を積む場合は、このフレキシブルデッキボード付きのLX700hのほうが使い勝手は良いでしょう。
3列目は電動格納で、煩わしい操作の必要なくスペースを確保することができ、また3列目の搭乗時は2列目の肩口にあるスイッチを操作することで、自動で格納されるため、楽な乗降が可能です。
さて、いよいよ出かけてみます。都心だけでなく、高速道路や郊外の一般道、さらには狭隘な山道もルートに入れ、いつも通り走ります。
都心ではストップアンドゴーが多く、ハイブリッドの本領発揮といえます。40km/h程度までであればほぼEV走行領域で済ませることができ、乗用車のハイブリッド車と同レベルで、かなり静かで快適な移動が可能です。
特に渋滞で少しだけ前に進みたいような状況では、モーターならではの滑らかな走りは大きな強みになります。
信号発進で車列の前に出たい場合、ようやくV6ツインターボエンジンの出番となります。一般道では性能をフル活用することはまずないトルクフルな走りで、3トンもある車重は感じません。モーターのサポートもあり、軽々と加速するため、ストレスはありません。
ただし、1つだけ気になるのが、「モーターのみ走行からエンジン+モーター走行」に切り替わるときの音です。後ろの遠くのほうから、鼓膜を揺らすような「ドンッ」という音が都度聞かれ、少々耳障りに感じます。
当初は荷物が動く音かと思いましたが、エンジンに切り替わると鳴ることから、クラッチでMGとエンジン・ミッションをつなげている音でしょう。ショックがなく、スムーズな走りを感じられるだけに、このノイズは正直、気になるところです。
とはいえ、音楽を流したり、乗員と会話しながらではあまり気にならなかったので、非常に静かなシチュエーションでないと気付かないかもしれません。
なお試乗車にはオプションの「マークレビンソン リファレンス3Dサラウンドサウンドシステム」(27万3900円)が装着されていました。
レクサス最多だという25個のスピーカーから成るシステムで、ハイブリッドの高い静粛性との相性は良好です。ただし、少し音に厚みが欲しく、リアからの音が物足りない…と感じたのが正直な印象です。セッティングをいくつか変更し、ある程度はよくなりました。







































































