東名高速を「自転車で走行」した女性を保護… 「なぜ疑問に思わない?」「間違えようがない」意見も!? 常識じゃありえない「誤進入事故」なぜ起こる? 元警察官が解説
静岡県内の東名高速道路で、女性が自転車で走行し、警察に複数の通報が寄せられました。一体何が起こったのでしょうか。元警察官の筆者が解説します。
東名に「自転車」侵入 なぜ起きた?
静岡県内の東名高速道路で、女性が自転車で走行し、警察に複数の通報が寄せられました。
実はこうした事案は後を絶たないのですが、一体どういうことなのでしょうか。
![高速道路のパトカーのイメージ[画像はイメージです/PIXTA]](https://kuruma-news.jp/wp-content/uploads/2026/06/20250624_police_000.jpg?v=1750740489)
この事案は、2025年6月21日午後3時過ぎ、静岡県焼津市内の東名高速道路 焼津IC付近で、自転車に乗った女性が走る様子が目撃され、静岡県警に「高速道路を自転車で走っている人がいる」との通報が相次いだものです。
女性は焼津ICの料金所の隙間から高速道路に進入したとみられ、その後、静岡県警の高速隊が女性を保護し、一般道に戻したということです。
このニュースに対し、インターネット上では「料金所もあるのに、疑問に思わなかったんだろうか?」、「高速道路の出入口手前には大きい標識があるし間違えようがないのでは」など、驚きの声が多く寄せられています。
高速道路内は速いスピードで車両が行き交っており、自転車や歩行者が進入すると重大事故につながるおそれもあり、大変危険ですが、実はこうした事案は珍しいものではないのです。
今回の事案が発生した東名高速道路を管轄するNEXCO中日本によると、2024年中は誤進入が897件発生していると発表しています。
その内訳は原付が458件(全体の約51%)、自転車が126件(約14%)、歩行者が313件(約35%)でした。
またNEXCO西日本においては2023年度に814件、首都高速道路では2023年度に483件など、他の高速道路でも誤進入事案が多く発生している状況です。
では、一体なぜ高速道路に誤進入してしまうのでしょうか。
その理由はさまざまですが、高齢者が一般道路と間違えたり、泥酔した人が高速道路だと認識できなかったりして誤進入するケースがあります。
特に歩行者が誤進入する事例では、酒に酔った人のほか、認知症の人、外国人などが多く、認知機能の低下や土地鑑のなさなどによって引き起こされる可能性もあるという見方もあります。
さらに、料金所で道を聞くために進入する、未払いの料金を支払うため料金所に向かうといった事例も報告されており、高速道路と知りながら故意に立ち入る人も少なくありません。
しかし高速道路は、道路法第48条の11や高速自動車国道法第17条によって排気量125cc以下の原付、自転車、歩行者の立ち入りが禁止されています。つまり法令違反に当たる行為であることから、上記のような理由で進入しないようにしましょう。
そのほか、自転車や原付の運転者がナビゲーションアプリを使って走行するときに、クルマ向けの高速道路使用ルートに設定し、誤進入してしまうケースもみられます。
そのため、スマートフォンのナビゲーションアプリなどを利用する場合は、あらかじめ高速道路を使わない経路案内にしたり、自転車モードに設定しておくことなどが必要です。
たとえば「Google Maps」を使用する際は、目的地までの経路に関して「高速道路を使わない」といったオプションを付けたり、ガイド設定を自転車モードに設定したりすることが可能です。
また高速道路の入口付近には、自転車・歩行者・原付の立入禁止を知らせる警告看板や道路標示のほか、進入を防止するラバーポールなどが多く設置されています。
これらを見落とすことがないよう、道路標識や標示などをしっかり確認することが大切です。
※ ※ ※
ナビゲーションアプリを使って画面を注視しながら運転していると、誤って高速道路に進入してしまうケースがあります。
過去には自転車や歩行者などが高速道路に進入した後、走行中の車両と衝突して運転者が死亡する事故も発生しており、決して珍しい事例ではないということを念頭において運転することが重要です。
なお、もし高速道路を走行中のドライバーが歩行者や自転車などを見つけた場合には、道路緊急ダイヤル「♯9910」や非常電話、110番などで通報するようにしましょう。
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