当時新車169万円! ホンダ「1人乗り“シビック”」が凄かった! 225馬力「高性能タイプR」なのに「運転席のみ」仕様!? 助手席すらない「ムダ装備全カット」の硬派モデルとは
ホンダ「シビックタイプR」に、わずか169万円で買えるモデルがありました。一体どんなモデルだったのでしょうか。
エアコン・キーレス・エアバッグはもちろん… 助手席まで撤去
ホンダのスポーツモデルの最高峰に位置する「タイプR」は多くのユーザーの憧れのブランドです。中古車となってからも、モデルによっては新車価格を超えるプレミア価格となっているものも存在するほど。
しかし、かつてホンダはそんな「タイプR」モデルでありながら、新車価格(消費税込)169万500円で提供していた、破格のモデルを販売したことがあります。

タイプRといえば、過去には「NSX」や「インテグラ」にも設定されていましたが、現在は「シビック」にのみ設定されており、現行型で6代目を数える人気モデルとなっています。
シビックタイプRは、4代目からは「K20C」型2リッター直噴ターボエンジンが搭載されたものの、やはりホンダのタイプRというと高回転まで一気に吹け上がるNA(自然吸気)VTECエンジンのイメージが強いようで、最後のNAエンジンが搭載されていた2007年から2010年までの3代目「FD2型」が特に根強い人気を誇っています。
そのため現在、FD2型で中古車として流通しているものは、最も安い部類でも総額200万円ほどとなっており、新車価格が283万5000円だったことを考えると、15年以上が経過した現在でも、どれだけ値落ちしていないかが分かります。
ただし、そんなFD2型シビックタイプRに、新車価格が170万円を切るものが存在していたのをご存知でしょうか。
それが、2007年9月に発表された「シビック ワンメイクレースベース車」なるもの。
2008年度から開催されていたワンメイクレース(車種を統一したレース)「ホンダ エキサイティングカップ ワンメイクレース2008 ~シビック・シリーズ~」に参戦するユーザー向けにリリースされた特別仕様車です。
このモデルは8000回転で225PSを発生させる「K20A」型NAエンジンや6速MTはそのままに、レースに不必要な装備を極限まで省いた仕様となっていました。
廃止された装備は非常に多く、タイプR専用に開発された「Honda R specシート」や本革巻ステアリング、メタル製フットレストは無論非装着。
レースでは不要となる運転席&助手席エアバッグ、HIDヘッドライト、LEDハイマウントストップランプ、エアコン一式、キーレスエントリーシステム、セキュリティアラーム、イモビライザー、パワードアロックといった装備も一切備わりません。
そして極めつけは助手席および後席(つまり1人乗り)、全席のシートベルト、ルーフライニングやフロアカーペット、アンダーコートやメルシート(フロアに取り付けられる防音・防振用シート)、レースに不必要な内装・内張り関連のものはことごとく廃止。
さらに車載工具や車載の発煙筒、ホーンなどもレースには必要ないことから非装着となっていたのです。
ここまで装備が省かれていれば、ベース車より120万円近く安いのも納得。
ただし、このモデルは一部の保安部品が非装着となっていることからも分かるように、あくまでワンメイクレースに参戦するための車両であり、残念ながら登録してナンバープレートを取得して走行することはできない仕様となっていました。
そのため、もしこの車両がレースに出ずに現存していたとしても公道で乗ることはできませんが、レースに参戦するユーザーのためにわざわざこういった仕様をホンダが用意していたということには、実に驚かされます。
Writer: 小鮒康一
1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。
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