「なんでスペース空けてるの?」 無理やり入る人は「免許返納したほうが…」 「謎の斜線エリア」何のため? ハンドル握るなら知るべき空間とは
車両を運転する際には、道路上のさまざまな標識や標示を確認しながら安全に通行することが大切です。特に白線の四角形の中に白色の斜線が入った「斜線ゾーン」は重要な標示の一つですが、一体どんな意味があるのでしょうか。
消防署や警察署などの出入口付近にある「斜線ゾーン」、この中で停車していたら交通違反に!?
道路上にはさまざまな標識や標示があります。
特に白線の四角形の中に白色の斜線が入った「斜線ゾーン」は重要な標示の一つですが、一体どんな意味があるのでしょうか。

車両を運転する際には、道路上のさまざまな標識や標示を確認しながら安全に通行することが大切です。
しかし「一時停止」や「駐車禁止」などの標識はしっかり見ていても、道路上にペイントされた標示を見落としてしまうドライバーは少なくありません。
たとえば前方に横断歩道または自転車横断帯があることを知らせる「ひし形マーク」の標示については、2020年に山梨県警が男女2600人を対象におこなったアンケート調査の中で、マークの意味を正しく理解していない人が6割超に上ったという結果が出ています。
最近は多くのメディアがひし形マークを取り上げるようになり、その認知度は次第に高まっているものの、横断歩道だけでなく自転車横断帯の存在を伝える標示ということは意外に知らない人もいるでしょう。
また消防署や警察署などの出入口付近の道路上にある、白線の四角形の中に白色の斜線が入った「斜線ゾーン」の標示についても、見落としているドライバーが散見されます。
これは「停止禁止部分」と呼ばれる標示であり、前方の車両などの状況によってこの区画内で停止するおそれがあるときは、その中に入ってはいけないと法令で定められています。
つまり、信号待ちなどで前方の車両が詰まっているときは停止禁止部分に入らず、その手前で停車しなければなりません。

なお警察庁が公表している「交通規制基準」によると、停止禁止部分の標示が設置されるのは、次のような道路です。
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1 緊急自動車の出入口付近またはバスターミナルの出入口付近の道路で、信号待ち車列等により、緊急自動車の出動等や路線バスの正常な運行に支障がある道路の部分
2 バス停留所付近での路線バスの円滑な運行を確保するため、特に必要な部分
3 交通整理のおこなわれていない交差点で、滞留車両による交通障害のため交差道路の安全で円滑な交通に著しい支障がある交差点内の部分
4 滞留車両が踏切まで及ぶため踏切付近の安全空間を確保するなど、特に必要があると認める道路の部分
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1は主に消防署や警察署などの出入口付近を停止禁止部分にすることで、消防車や救急車、パトカーといった緊急自動車がスムーズに出動できるようにする仕組みです。
さらに2に関してはバス停近くの道路に停止禁止部分を設けてスペースを空け、路線バスが発進する際に他の車線へ合流しやすくするものです。
3は信号機のない交差点において交差点内に車両を留まらせないため、また4は車両が踏切内に進入して列車と接触しないように、それぞれ停止禁止部分を設置するものです。
この道路標示に関してSNS上では「私は道路の停止禁止部分空けて止まってんのに、後ろからわざわざ私を抜かしてそこに入るやつ何?」、「赤信号になったから停止禁止部分の前で止まったら、後ろのクルマから『前詰めろ』って言わんばかりの鬼クラクション鳴らされてキレそうになった」など怒りの声が寄せられています。
上記のように、停止禁止部分は一般の車両が緊急自動車の出動を妨げないようにしたり、踏切内での事故を防止したりするための重要な標示です。
加えて、停止禁止部分で停車すると「交差点等進入禁止違反」に該当し、違反点数1点、普通車で6000円の反則金が科される可能性もあることから、すべてのドライバーが理解しておくべきといえるでしょう。
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停止禁止部分と混同されやすいものとして、導流帯(通称:ゼブラゾーン)という道路標示もあります。
導流帯は安全かつ円滑に車両の走行を誘導する目的で設置されますが、停止禁止部分と異なり、この上で停車しても構いません。
このように、見た目が似ている標識や標示はいくつか存在するため、その違いを知っておくことが肝要です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。





































