現行「最後のスープラ」登場! 一部改良&特別仕様車は何がスゴいのか? 本気の「スープラ」実力はいかに【試乗記】
ファイナルエディションは「GRMNスープラ」と名乗らなくて良かった? 豊田章男会長が語る「次期スープラ」とは
ちなみに試乗前は「なぜ、GRMNスープラを名乗らないのかな?」と疑問に思っていましたが、量産車と45度線上に位置するオールラウンダーな特性から、逆に名乗らなくてよかったのかなと。
恐らく、サーキットベストを目指すのならば、もう少し違った味付けになっていたと思います。
パワートレインは出力アップよりもアクセルワイヤーのような応答性とまるで入念にバランス取りしたかのような滑らかな回転フィールと伸びの良さ、そして昔のエンジンのような艶っぽいサウンドに、「エンジンっていいな」を再確認。
ちょっと前に乗ったアルピナB3Sにフィーリングが似ているなと思ったら、開発陣は「実は同じエンジニアにセットしてもらいました」と教えてくれました。
トランスミッションは6MTのみの設定ですが、ライトウェイトスポーツのように操作力は軽く抵抗感が少なめで、カチッと入るではなくスコッと入るフィーリングは、このエンジンとの組み合わせだと、より輝くように感じました。
総じて言えば、ベースは量産車の範囲内、ファイナルエディションは量産の域を超えた範囲で「5代目の集大成」としてやり切ったモデルと言っていいでしょう。

現行モデルでここまでできると言う事は、次期モデルはもっと期待できそうです。
このGRスープラに特に強い想いを持っているのがマスタードライバーの豊田章男氏です。豊田氏に次期モデルの話を聞いてみると、笑顔でこのようなヒントをくれました。
「クルマは何年かでモデルチェンジしてこそのクルマなんです。僕が何で『もっといいクルマづくり』と言ったかと言うと、当時のトヨタは伝統あるモデルを次々とドロップ、その一方で新しい名前のモデルばかり作っていた。
その結果、モデルの繋がりも無くなりました。私はトヨタが『自分の時だけこの新車を出したよ』と言うメーカーになってはいけないと言う気持ちを持っています。
だから、私はスープラを復活させました。更にカローラやヤリスは群にしましたし、ウワサではセリカも出てくる(笑)。
要するにトヨタと言う会社は、代々商品を引き継がなければダメなのです。クラウンは明治維新を迎えましたよね? 何が言いたいかと言うと、トヨタは『ブランド』を大切にしなければダメだと。全然答えになっていないですね(笑)」
※ ※ ※
明確には語っていませんが、「ブランドを大切にする→系譜が途切れてはダメ→次期モデルは用意」と考えていいでしょう。
それを踏まえると、今回の改良はスープラの歴史の通過点の1つであり、ファイナルモデルは次へのスタートと言うわけです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿や、URLを記載した投稿は削除する場合がございます。