大型トラックの「ナゾの部屋」いったい何のため? 内部の“意外なつくり”がスゴい!? 知られざる使い方とは?
「トラック」にはさまざまなタイプがありますが、なかには屋根が高く運転席上部に「謎の空間」があるトラックが存在します。
トラック運転席上部の「謎の部屋」内部はどうなっているの?
大型トラックには、キャビン上に箱状の装備が取り付けられているものがあり、これは「エアデフレクター」「ウインドデフレクター」などと呼ばれています。
メーカーによって名称が異なりますが、三菱ふそうでは「スーパーマルチルーフ」、日野自動車では「スーパーハイルーフ」、いすゞでは「マキシルーフ」といった独自の呼称が採用されているほか、「導風板」「風防」といった名称でも知られています。
そんなエアデフレクターは、一体どのような目的で設置されているのでしょうか。

エアデフレクターの主な役割は、空気抵抗の低減です。
トラックの荷台は四角く垂直に立ち上がっているため、走行中に前方からの風を強く受け、これが原因でスピードや燃費に影響を与えるため、空気の流れをスムーズにするためのエアデフレクターが設置されています。
エアデフレクターは流線型をしており、風をなめらかに流すことで、走行中の負担を軽減するのです。
また、エアデフレクターは空力の面以外にも効果を発揮。そのひとつが、降雨時にフロントガラスの視界を向上させる機能で、雨水がフロントガラスの横へ流れるように設計されており、ワイパーの負担を減らしつつ運転視界を確保します。
さらに、走行中の風切り音を低減する役割も果たしており、運転の快適性向上にも寄与しています。
しかし、このエアデフレクターにはもうひとつの大きな特徴があります。それは、内部が「小部屋」になっているという点です。
エアデフレクターのサイズは大きく、その内部を活用し、仮眠スペースとして設計されていることがあります。
特に長距離を運行するトラックドライバーにとっては、貴重な休憩スペースとなるのです。
例えば、いすゞのマキシルーフの場合、内部の広さは最大で横1985mm×奥行き1025mm×高さ865mmと、大柄な人でも十分に横になれるスペースが確保されています。
また、仮眠スペースとしての機能性を高めるために、照明やコンセント、カップホルダー、開閉可能な窓などの設備が備わっています。さらに、オプションでエアコンを装備することもできるため、快適な環境で休息を取ることが可能です。
エアデフレクターの内部は仮眠スペースとしてだけでなく、休憩や荷物置き場としても役立ちます。
運転席裏での仮眠を好むドライバーもおり、小部屋を収納スペースとして活用するケースも少なくありません。食料品や着替え、仕事道具を置く場所として利用されることが多く、長距離運転を支える重要な設備のひとつとなっているのです。
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SNS上では、この小部屋に対して「工夫が施されている」「運転席後部に寝台が無い分トラックの積載容量が増えるのか」「運転席が上にあることでドライバーのプライバシーが守られる」「秘密基地みたいで憧れる」などとトラックの構造に好意的な意見が寄せられています。
一方で、「夏はオプションのエアコンをつけないと暑すぎる」「運転席後部が無いからリクライニングできないのでは?」「理想は運転席後部もあって、上部は荷物置きに使いたい」と、より快適な使い方を望む声も見られました。
長距離輸送では、トラックドライバーの休憩環境が重要視されています。働き方改革の影響により、連続運転時間が制限されるなかで、適切な休息の確保が求められています。
高速道路のサービスエリアやパーキングエリアには宿泊施設が併設されるケースも増えていますが、トラック本体にも宿泊環境を整えることで、運転の安全性や快適性を向上させる取り組みが進められています。
今後もドライバーの快適性を考慮したトラックの開発や改良が求められ、各メーカーの動向に注目が集まります。
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