ハンドルの奥にある謎の「金属の板」何のため!? 「一度も使ったことない」の声も! 適切な「パドルシフト」使用で「運転も上達」?

クルマのハンドルの奥に、謎の「金属板」が装備されていることがあります。果たして何のための機能なのでしょうか。

「パドルシフト」の適切な使い方とは

 クルマのハンドルの奥に、金属の板が装備されていることがあります。これは「パドルシフト」と呼ばれるものですが、「これっていつ使うんだろう」「使ったことがない」という人も思いのほか多いようです。
 
 果たしてパドルシフトは、いつどのように使うべきものなのでしょうか。

「パドルシフト」はいつ「活用」すれば良い!?[イメージPhoto:AdobeStock]
「パドルシフト」はいつ「活用」すれば良い!?[イメージPhoto:AdobeStock]

 パドルシフトとは、ステアリングホイールの奥に備わっていて、シフト操作ができるレバーやボタンのこと。

 手前に引いたり奥に押したりすることで、ステアリングホイールから手を離すことなくシフトダウンやシフトアップ操作ができます。

 かつてはスポーツカーの装備だったパドルシフトですが、昨今ではコンパクトカーからSUV、ミニバンまで、幅広い車種で採用されています。

 ただ、一般的なオートマチックトランスミッション(AT)車では、Dレンジに入れさえすれば、自動車メーカーがセッティングしたシフトスケジュール(どのタイミングでシフトチェンジさせるのかを定めたマップ)によって自動変速がなされていきます。

 したがって、ドライバーがわざわざパドルシフトを操作しなくても、スムーズに走行することは可能です。

 たとえば高速道路での合流シーンや追い越しシーンなどでは、アクセルペダルを深く踏み込むことでキックダウンが行われて、強い加速ができます。

 長い下り坂などで車速が速くなりすぎた場合には、シフトノブ側で、2(セカンド)レンジやB(ブレーキ)レンジを使う必要がありますが、普通に運転している限りは、マニュアル車のようにドライバーが何速ギアを使って走るかを考える必要は通常なく、パドルシフトを使うべきタイミングはありません。

 ではパドルシフトはいつ使えば良いのでしょうか。

 例えばホンダではパドルシフト(ホンダでは「減速セレクター」としている)について、「パドルシフトはシフトチェンジが楽しくなるアイテム」だと説明しています。

 ドライバーは、マニュアル車のように好きなタイミングでシフトアップとシフトダウンができるため、運転をより楽しむことができるものであり、ハドルシフトはそのための装備としているのです。

 たとえば、高速走行中に少しだけ減速をしたいとき、フットブレーキで減速するよりも、パドルシフトで1段下のギアへとシフトチェンジすることでエンジン回転が一時的に上がり、やや強めに減速Gを働かせることができます。

 またHEV(ハイブリッド車)やBEV(電気自動車)に備わるパドルシフトの場合は、回生ブレーキの度合を変える減速度セレクターとなっています。

 同じく強めに減速Gを働かせることができ、もっと強めに減速したいときは、パドルシフトを「カチカチ」と2回引けば、より強い減速Gが得られます。

 郊外のワインディングで、パドルシフトによるシフトダウンとシフトアップを巧みに駆使しながら走ると、ドライバーの操作に応じて、(エンジン車の場合は)エンジンサウンドの高鳴りを感じたり、思い通りに減速Gが発生するという、より高いドライビングプレジャーを体感することもできます。

 もちろん、パドルシフトを全く触らなくても安全に運転することはできますし、パドルシフトを使わないとドライビングプレジャーを味わえない、ということではありません。

 しかしいつもの道もパドルシフトを使うことで、より新鮮に楽しむことができます。パドルシフトはそのためのアイテムなのです。

 なおパドルシフトの操作手順はメーカーや車種によって異なる場合があるので、使用する際には事前に取扱説明書などをしっかり確認しておきましょう。

※ ※ ※

 パドルシフトは、先進運転支援機能が充実し、自動運転へと進んでいく時代にあっても、クルマを操るという「運転の楽しさ」を忘れないでほしい、という自動車メーカーのメッセージが込められているアイテムなのです。

 もし愛車にパドルシフトがついているようでしたら、ぜひ一度使ってみてください。

 今まで知らなかった運転の楽しさに気づいてしまうかも知れません。

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