クルマの傷「自分でタッチペン補修」大丈夫なの!?「プロは高いし…」実際何が違うのか 職人が語る「絶対気を付けるポイント」とは
プロの職人が語る「タッチペン補修」の極意とは!?
また、別の板金塗装職人さんは、タッチペン補修の際の注意点として「付属のブラシは使わない方がいいです」と話します。

「塗料が多すぎて、傷の部分に塗ったとしても垂れてきてしまうのです。
私がおすすめしているのは、ティッシュペーパーに塗料を含ませて、傷口に少しずつトントンと軽く叩きながら塗り込んでいく方法です。これなら、思わぬ塗料付きになって失敗する確率がグッと下がります。
その代わり…やっぱり仕上がりが、簡易的な『傷隠し』程度になってしまいますよね。
まあ、はじめから完璧な仕上がりを求めず、自分なりの妥協点を見出すことが大切です。煩雑な作業が減りますし、気が楽になりますよ。
だいたい『2メートルくらい離れて見て分からなければOK』くらいの緩さがポイントです。
あと、傷隠しもそうですが、『シリコンオフ』を使った事前の脱脂処理は、重要な工程です。面倒でもお忘れなく」
ここで出てくる脱脂処理というのは、塗装しようとする露出金属面についた油分を落とす作業のことです。
つまり皿洗いで家庭用洗剤で油汚れを落とすような工程です。これをしないと、塗料が油にはじかれて、うまく仕上がってくれません。紙にクレヨンが付くと、クレヨンの油のせいで絵の具が乗ってくれないようなものです。
シリコンオフというのは、金属パーツ洗浄剤とはまた別で、塗装面の脱脂処理に特化したものです。金属パーツ洗浄剤を使ってしまうと、洗浄力が強すぎて表面を荒らしてしまうおそれがあるので、注意しましょう。
※ ※ ※
以上のように、プロの作業は、緻密で繊細な技術を必要とし、その結果美しい補修仕上がりとなります。いっぽう、自分で作業すれば、工賃はいりません。ここで「きれい・安いという両方のメリット」を自力作業で求めるのはやめたほうがいいでしょう。
完璧な仕上がりを求めず、妥協点を見出すこと。広範囲の傷であれば板金塗装のプロフェッショナルに修理を依頼すること。という判断が妥当に思われます。
Writer: 松村透
株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。
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