「アルファード」変形で解体、「セレナ」が土石流に埋没!? 茨城・埼玉の警察消防が総勢70名で救助…なにがあった? ヘリコプターも登場した大規模訓練とは
アルファードやクラウンなどが解体!? 土砂に埋まる? どんな様子だったのか
そして午後には、こうした衝突実験で使用した車両を使った車両解体訓練が行われました。
ここに用意された車両は4台。
トヨタ「アルファード」「クラウン クロスオーバー」、レクサス「NX350h」、そしてホンダ「ZR-V」で、すべてがハイブリッド車になります。
そのほか、前述の土石流での埋没を想定した救助訓練では、トヨタ「クラウン セダン」と日産「セレナ」を使用しました。
車両解体訓練は、茨城県警察と水戸市消防局がぞれぞれ2班、合計4班に分かれて1台づつに対応する形。時間は総括などを含めて約1時間半の工程です。
訓練が始まると、各班のリーダーが車両の状態を確認した後、どのような進め方をするかを隊員に指示します。
事故車内の残された乗員を救出することが目的ですが、それと同時にそれぞれの班がこの機会に試しておきたい作業を試してみるという意味合いもあります。
例えば、水戸市消防局では今回、大型の電動機器を持ち込み、その操作性の確認作業を訓練に取り入れていました。
乗員救出のプロセスのひとつとして、フロントガラスを取り除く作業があります。
水戸消防局の場合、養生テープを張ってから、ガラスの端にドリルで穴を開け、そこから特殊な金属材料を採用した手ノコで短時間にフロントガラスをキレイに切り出してしまいました。
その他、アルファードは車両が大きく変形しているため、スライドドアを外すのにかなりの手間がかかることが分かるなど、事故車の解体の難易度の高さを実感する、筆者にとって貴重な機会となりました。

JARIの代表理事・研究所長の鎌田実氏は今回の訓練について「日本全国で様々な災害があり、直近でも道路陥没事故や大規模な火災が(関東圏内で)起こっている。そうした際の人命救助を日頃からの訓練で迅速に対応できることが非常に大事だ」と、茨城県警察と水戸消防署との連携の実効性を強調しました。
あわせて「今後、ハイブリッド車やEVなど高電圧を使うクルマが増え、また水素を使う燃料電池車がさらに増えると、(救助の際に)どのように作業を行うべきか(の検証としても含めて)、こうした訓練の重要性が高まる」と、次世代パワートレイン車への対応についての考え方も示しました。
今回、JARIでの貴重な体験を受けて、もしもの場合、こうした救助が行われることをユーザーのひとりとして心強く思うのと同時に、安全運転の重要性をユーザーは常に心に刻むことが重要だと、改めて強く感じました。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿や、URLを記載した投稿は削除する場合がございます。