日産、新型セレナe-POWERついに登場! 電気で走るハイブリッドが試乗で魅せた“いいクルマ感”

セレナe-POWERライバルミニバンよりも抜き出た存在に!?

 新型セレナe-POWERは、空間が広いミニバンが苦手としている走行時の車内の静かさ非常に高いと感じました。

 今回のクローズドコースは、フラットで荒れた路面などは無かったので、日産の上級ミニバン「エルグランド」を超えたと思ってしまうほど。しかし、坂道や高速道路での加速時に強くアクセルを踏み込んでしまうと3気筒エンジン特有のビートが響くため、人によってはノイジーに感じることもあるかもいれません。ここの部分は公道での試乗機会に確認したいと思います。

クローズドコースで走行する日産 セレナe-POWER

 ただ、アクセルの踏み方一つでエンジン音は抑えることができるため、運転が上手な人ほど静かに走らせることができるはずです。また、バッテリーだけで静かに走行可能な「マナーモード(EVモード)」や、マナーモードをフル活用できるように事前に通常走行時は任意に充電できる「チャージモード」も設定されています。

 実際にバッテリーだけで2.7km程度走行可能ということなので、深夜/早朝の住宅街では上手に活用ができると思います。

 走りに関してはe-POWERを搭載するにあたり最適化したのみとの事ですが、車両重量アップや低重心化、e-POWER搭載に伴う補強などがいい方向に効いているようで、これまでのセレナよりも“いいクルマ感”に仕上がっています。

 今回はクローズドコースのみの試乗だったため自動運転技術の「プロパイロット」は試せませんでしたが、応答性の良いe-POWERとの相性でさらに良くなっているはずです。

日産 セレナe-POWERの2列目キャプテンシート
セレナe-POWER AUTECH

 さらに新型セレナ初となる2列目キャプテンシートやブルーアクセントのインテリア、LEDストップランプ、専用アルミホイールなどをプラスしたエクステリアも含めて、車両全体で上級仕様に仕立てられています。個人的にはオプションでもいいので16インチのアルミホイール&タイヤが選択できると、よりスタイリッシュに見えると思います。

 また欲張りな人向けに、内外装をよりプレミアムに仕立てた「セレナe-POWER AUTECH」も用意されていますが、実は「カスタムミニバン+電動化パワートレイン」は現在唯一無二の存在となっています。

 個人的に残念なのは人気の「NISMO」がラインナップされてない事です。ただし、反響によっては今後追加設定されることがあるかもしれません。

 このようにセレナe-POWERは、日産が未来に向けて目指している「電動化技術」と「電脳化技術」が融合したことで、トヨタ・ヴォクシー/ノア/エスクァイアの3兄弟と、ホンダ・ステップワゴン、そしてこのe-POWERが追加された新型セレナの三つ巴の戦いが繰り広げられているMクラスミニバンの中では、一歩抜き出た存在になったと思います。

 ただ、296万892円から340万4160円というプライスにユーザーがどう反応するのか、気になる所です。

【了】

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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