日産、新型セレナe-POWERついに登場! 電気で走るハイブリッドが試乗で魅せた“いいクルマ感”
ノートで人気を博した日産のハイブリッドシステム「e-POWER」、ミニバンの新型セレナにもついに搭載。しかし専用に開発したe-POWERと言っても、セレナサイズのミニバンに1.2リッターエンジンは厳しいのでは!? どんなクルマに仕上がったのか、早速試乗してチェックしてきました。
ノートで爆発的人気の「e-POWER」ついにミニバン新型セレナに搭載
日産の人気ミニバン「セレナ」のフルハイブリッドモデルがついに発売されました。その名も「セレナe-POWER」。
すでに発売されているセレナにもハイブリッドシステムが搭載されていまいたが、これまでのスマートシンプルハイブリッド(通称:マイルドハイブリッド)とは、大きく違います。セレナ初のフルハイブリッドシステムとなる「e-POWER」は、トヨタ車などのハイブリッドシステムとも異なります。
エンジンで発電した電気を使って、モーター駆動による「力強い走り/静粛性」とEVのデメリットの一つである「航続距離」の問題を解消したシステムです。
今回、新型セレナに搭載された日産のフルハイブリッドシステム「e-POWER」は、すでにコンパクトカーのノートに設定され、爆発的な販売を記録しています。ノートと同じシステムを採用した新型セレナe-POWER、特別にサーキットで事前に試乗する機会を得たので、どんなクルマに仕上がっているのか、お伝えしたいと思います。
まずセレナe-POWERに乗り込む前に驚いたのは、システムだけではなく、搭載されるエンジンもコンパクトカーであるノートe-POWERと同じだったことです。
その中身ですが発電用エンジン(1.2リッター)+モーターの組み合わせに、大きな車体と重くなった重量に合わせて、エンジン出力を7%アップ(62kWh)、モーター出力は25%アップ(100kW/320Nm:電気自動車のリーフと同スペック)、バッテリー容量は20%アップ(1.8kWh)とミニバン専用e-POWERへ進化させています。
とはいえ、これまでの2リッターエンジン搭載のセレナは、走りの気持ちよさの部分ではアクセル操作に対するエンジンの反応の悪さにガッカリで、「本当に2リッターエンジンを搭載しているのか?」と疑ってしまうくらいのパフォーマンスでした。
筆者(山本シンヤ)は「いくらe-POWERと言っても、1.5トンを超えるミニバンに1.2リッターの発電用エンジンでは厳しいのでは!?」と思いました。
しかし実際にセレナe-POWERに乗り込み、走り出すとその心配はすぐに無くなりました。モーター駆動の力強さは発進時のアクセルひと踏みですぐにわかるレベルです。「スッと発進」、「スムーズに加速」とEVのリーフで感じた力強い走りが再現されていました。ちなみに全開時は発電用エンジン+バッテリー電力の合算で100kWのモーターをフル稼働させるため、日常使用ではパワー不足を感じることはないと思います。
この理由を新型セレナe-POWERの商品企画を担当した日産の遠藤智実さんに聞いてみました。
「確かにこれまでのセレナは燃費をかなり意識した出力を抑えめのセットだった為、発進時や追い越しで力不足と言う意見があったのも事実です。
e-POWERの動力源となるモーターはエンジンなどの内燃機関と違って応答遅れが皆無で、アクセルを踏んだと同時に加速が始まります。
また、モーターは流した電気の量に比例して駆動力を発生するので、ゼロ発進時の加速の力強さは大排気量エンジン並み。更に変速機が必要ないので変速のタイムラグやショックとも無縁です。
ちなみに燃費はクラストップの26.2km/L(JC08モード)を実現していますが、スムーズな運転が可能になったことで実燃費も期待できると思います。
新型のノートやリーフで話題となっているアクセル操作のみで加減速が可能な『1ペダルドライブ』もこのセレナe-POWERには採用しています。アクセルOFFから停止までプロのドライバーが綺麗に減速した時と同じように滑らかな減速をしてくれます。
ちなみにノートe-POWERよりも高速走行の頻度が多いミニバンのセレナのため、車速が高い領域では1ペダルの感度を抑制しており、一定速走行がより楽になっているのもポイントの一つです。
もちろん、1ペダルが苦手な人にはアクセルOFFでの減速が緩めになるノーマルモードも用意されているのでご安心ください」と語ってくれました。