三菱ふそう 新型スーパーグレート試乗! 斬新な「ブラックベルト」マスクの力強さと、新開発12.8リッターエンジンを体感!

精度がさらに向上した先進予防安全システムを実際に体感

 このほかテストコースでは、さらに精度を向上した先進予防安全システムを体感する機会がありました。

 まずは、衝突被害軽減ブレーキ「アクティブ・ブレーキ・アシスト6(ABA6)」から。先代モデル搭載の「アクティブ・ブレーキ・アシスト4(ABA4)」に比べ、対象の検出範囲を拡大して制度を向上。見通しの良いカーブでの障害物や、複数の歩行者・自転車を検知することが可能となりました。そこで試乗会では、歩行者に見立てた人形めがけて新型スーパーグレートを時速40km/hで走らせ、人形の直前で急停車するデモも行われました。

新型「スーパーグレート」を試乗する筆者(遠藤イヅル)
新型「スーパーグレート」を試乗する筆者(遠藤イヅル)

 このほか、死角の多いトラックの安全性を高める装備として、前方の自転車や歩行者を検知して、メーターパネル内のマルチファンクションモニター内に危険を知らせる「フロント・ブラインドスポット・インフォメーション・システム(FBSIS)」のデモも実施。トラックの直前をスタッフが歩くと、三角形の中に人が描かれた警告アイコンが表示される様子を確認することができました。

 先代モデルでも採用されていた、車両左側の対象物を検出すると警報音とピラーに設置した警告ランプによって警告を行う「アクティブ・サイドガード・アシスト」は、新たに車両右側にもレーダーを設置して右側も検出できる「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」に進化しています。

 試乗では、高速周回路を走るスーパーグレートの左右からライトバンを走らせ、黄色い警告ランプの点灯を確認。さらにその状態でウインカーを出すと、警告ランプが赤に変わり、車線変更ができない危険な状態であることを教えてくれます。左折時の巻き込み事故防止にも役立ち、直接目視ができない範囲が多い大型トラックでは有用な機能だと感じました。

豊かなトルクと予防安全システムで高速道路もラクラク

 そしてこの日は、喜連川研究所から東北自動車道白河インターまでの往復約140kmにも及ぶ公道試乗も行われました。

 筆者が乗り込んだ新型スーパーグレートは、パブコ製のウイングボディを架装したFSモデル(8×4低床、型式:FS84VVZ1TC)でした。

試乗車は、パブコ製のウイングボディを架装した新型「スーパーグレート」FSモデル(8×4低床、型式:FS84VVZ1TC)
試乗車は、パブコ製のウイングボディを架装した新型「スーパーグレート」FSモデル(8×4低床、型式:FS84VVZ1TC)

 まずは研究所を出発して矢板インターチェンジに向かいます。取り回しの良さ、視界の広さ、ミラー類の見やすさなどにより、とても乗りやすいという印象を受けました。ブレーキのタッチも抜群で、エアブレーキ特有の難しさもありません。

 矢板インターチェンジからは、いよいよ高速道路を走行。車両総重量25tに整えられた「フル積載」の状態でしたが、6R30型エンジンのパワーは合流や登坂でも力強い走りを披露。アクセルに対するレスポンスもよく、ストレスのない走りを実感できました。トランスミッションは引き続き採用された12段AMT「シフトパイロット」で、適切なギアをきわめて静かに、かつ自動で選択してくれるため、ドライバーの負荷を大きく軽減します。

 排気量拡大はトルクアップ以外にも恩恵があります。低回転域を多用することで、キャブに入り込む騒音や振動を抑制。静かなキャブは、長距離運転時の疲労を軽減します。

 抜く車が左右の後方から接近すると、前述の「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」が作動して黄色の警告ランプが点灯。自車がどのような状況にあるのかを容易に理解できるのは、大きな強みです。

 全幅が2.5mもある大型トラックでは、車線内の中央をキープするだけでも気を使うのですが、スーパーグレートには、アダプティブクルーズとコントロールステアリング制御による車線維持アシスト機能を加えた、高度運転支援機能「アクティブ・ドライブ・アシスト2」を搭載しています。先代の2021年モデルから採用された機能で、ドライバーの疲労軽減に威力を発揮します。

 高速道路では、ずっとこの機能をオンにして走行。車線維持アシストと適切な車間距離で前車を自動追従してくれるので、運転はほんとうにラクでした。長距離の運転に大きく貢献することは間違いありません。

※ ※ ※

「その進化は、すべての人のために」というキャッチフレーズをうたう新型スーパーグレートは、さらに快適で安全性が高いトラックにモデルチェンジしていました。輸送の効率化やドライバーの待遇改善にも寄与するトラックは、2024年問題に対する解決策のひとつになる、と実感しました。

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