世界各国で開催される「モーターショー」などの自動車イベントで発表される「コンセプトカー」の中には、好評を得るも市販化に至らなかったモデルが多く存在します。
　
　なかでも2017年に開かれた「東京オートサロン」でお披露目された「T880」は、その魅力的な内外装やスペックから、今でも発売を求める声が止みません。

　T880とは、ホンダ車のカスタムパーツなどを開発するホンダアクセス（以下、ホンダ）内の有志「N Lab.」によって製作されたコンセプトカーです。

　ホンダの軽トラック「アクティトラック」を元に、内外装の全てを大幅にカスタムしたことで、もはや見た目のみでベース車を判断することが難しいほど個性的な一台に仕上がっています。

　このT880は、「働くクルマはカッコいい」をコンセプトに開発。ホンダは同車について「カッコ良くパワフルに乗れるモデル」と説明しています。

　そのエクステリアは、つぶらな丸目のヘッドライトや凹凸の少ないフラットでシンプルなスタイリングが特徴的。

　一方、フロントマスクには巨大な開口部を備え、張り出したフェンダーやホワイトレターのタイヤ、センター出しのマフラーなど、ベースが「普通の軽トラ」とはとても思えないスポーティな要素を数多く採用しています。

　インテリアは、一枚の板にも見えるダッシュボードに、複数のアナログなメーターを組み込むことで、レトロかつレーシーな雰囲気を強調。

　シートや内装材にはクッションが貼り付けられたようなユニークな形状をしており、ホールド性と乗り心地の良さを両立します。

　3本スポークの無骨なハンドルや金属製のシフトノブも外装同様に、さりげないスポーティさを漂わせていました。

　このT880に搭載するパワーユニットは、ホンダの軽自動車「バモス」用のターボエンジンで、これに5速マニュアルトランスミッションを組み合わせてパワフルな走行性能を実現していました。

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　オートサロン2017で、T880と同時に展示されていたS660のレトロなカスタムコンセプトモデル「S660 Neo Classic Prototype」は、翌年市販化を果たしましたが、一方でT880についてはその後の続報はありません。

　しかしT880は、一部メディア向けに“サーキット試乗会”も開かれるなど、走行性能もスポーティに磨き上げられており、ただのコンセプトカーで終わりには惜しい一台といえます。

　個人ユース用途としても軽トラックの人気が高まる昨今、またT880のようなワクワクするモデルが発表されるのか、今後のホンダ動向にファンからの期待が寄せられています。