そろそろ“フルモデルチェンジ”!? 17年モノ「ミニバン」に10年モノ「セダン」も!? ロングライフな「国産車」それぞれが愛される理由とは
デリカD:5
デリカD:5は、なんと今から17年前の2007年に登場しています。まさに平成時代中期ですね。
この頃の三菱は、非常に厳しい状態に置かれていました。当時各社のミニバンモデルが人気となる中、三菱は大型ミニバンの「グランディス」と、中型ミニバンの「ディオン」などを持っていました。
しかし、当時のミニバン市場は箱型かつスライドドアを持つモデルが中心であり、やや古いタイプのミニバンだったグランディスもディオンも、芳しい成績を得られずに廃止となったのです。
SUVすらも忘れられつつあった当時では、三菱の存在感は徐々に低下してしまいました。そんな中で、デリカD:5が登場したのです。
三菱車は、1980年代からリクリエーショナル ヴィークル(RV)色を持ったモデルが人気を博していきました。「パジェロ」や「デリカ」、「シャリオ」などです。
中でも1990年代半ばに登場した「デリカスペースギア」は、RVテイストあふれるワンボックスモデルとして、当時のミニバン人気をけん引したほどでした。
デリカD:5は、2007年当時としては賭けともいえる、RV的雰囲気をミニバンに取り入れて登場したのでした。
デリカD:5の特徴は各部にあり、中でも角ばったスタイルと強靭な骨格構造を持つボディ、前輪駆動を基本としながら直結にもできる4WDシステムなどが特徴的です。
これらの点は、他社のミニバンモデルにはない、三菱らしさを前面に打ち出していたといえます。
そのためデリカD5は、三菱車のファンだけでなく本格的なアウトドア志向の方からも好意的に受け入れられ、数あるミニバンの中でも指名買いされるモデルになっていきました。
マイナーチェンジも定期的に行われ、2011年には2輪駆動モデルのエンジンを新型に変更、2012年には待望のクリーンディーゼルエンジンを追加、2014年には早くもクリーンディーゼルエンジンをパワーアップ、2019年にはビッグマイナーチェンジを実施し、押し出しの強い現在のフロントマスクに変更しています。
その間、時代の傾向はファミリー向けのソフトな雰囲気のミニバンからSUV志向へと変わりました。
さらに三菱では、デリカD5の姉妹車的な雰囲気を持つ「デリカミニ」も大ヒット、ますますデリカD:5にとって有利な環境変化が起こっています。
ライバル不在かつ魅力的な変更が行われることで、デリカD:5から新たなデリカD:5に乗り替えるユーザーすらいるようです。
登場から17年が経過し、ジャパンモビリティショー2023には、次期デリカD:5を感じさせる実験的なモデル「D:Xコンセプト」が出てきたりしています。
そんな状況でもデリカD5は魅力を失っておらず、もう少しの間現行モデルが継続されそうです。
古くからの伝統を継承していたブランド名を廃止してきた日産車の中で、「スカイライン」は、「フェアレディZ」と共に伝統を背負っているモデルです。
現在のスカイラインは2014年に登場したもので、当時既に希少となっていた後輪駆動セダンを継承しています。
登場当初は、V型6気筒3500ccエンジンと電気モーターに7速ATを組み合わせた日産独自のハイブリッドモデルと、ダイムラー社製の直列4気筒2000ccターボエンジンモデルの2種類で登場しました。
ハンドルと車輪が連結していない、モーター制御のダイレクトアダプティブステアリングなどの、当時の先進技術も搭載しています。
しかし、登場間もなくこのダイムラー製のターボエンジンに批判が集中してしまいます。
このエンジンは当時流行していたダウンサイジングターボエンジンだったのですが、日産車のファンには、伝統的モデルのスカイラインに他社のエンジンを搭載することが受け入れられなかったのでしょうか。
このモデルは、車両価格が割高だったりメンテナンスの点でも難があったためか、2019年のマイナーチェンジで廃止されます。
このマイナーチェンジでは新型のV型6気筒3000ccターボエンジンを搭載、よりハイパワーな仕様のグレード名を400Rとしたり、ハイブリッドモデルには運転支援システムのプロパイロット2.0を搭載するなど、大幅な変更が行われています。
2024年現在では、ハイブリッドモデルが廃止されるなどラインナップは縮小されましたが、ターボエンジン車を中心に今なお進化中です。
各社がセダンモデルの不振から伝統あるモデルを廃止していますが、日産自身もスカイラインの継続を色々検討していることでしょう。
かつてのライバルだったマークXもなくなり、レクサス「IS」を残すのみとなってしまいましたが、稀有なモデルとしてセダンスタイルを継承していってほしいものです。
GT-R
日産GT-Rは、2007年に登場しました。
BNR34型「スカイラインGT-R」販売中の2001年から「GT-Rコンセプト」の名称でショーなどに展示されたり、カーレースゲーム内にコンセプトモデルが登場したりしていましたので、もっと前からあるように感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。
「GT-R」は、スカイラインの車体に専用ハイパワーエンジンを搭載したグレードから、新たに日産車を代表するハイパワーモデルとして展開する専用モデルへと進化しました。
そのため、主要な部品も専用品を使用することができ、より高性能を目指すことが出来るようになったのです。
エンジンはV型6気筒3800ccツインターボ、トランスミッションはエンジンと切り離して後方に配置する、6速ダイレクトクラッチ式オートマチックトランスミッションを採用しています。
GT-Rが専用モデル化されたことによって乗用車としての性格は薄らぎ、残念さを感じるファンもいたようですが、それによって高い走行性能を得たのです。
GT-Rは、エンジン出力480ps、販売価格も777万円と当時としては驚愕の高性能で登場しましたが、この種のスポーツモデルは年々改良を行い、常に高性能を維持していかなければライバル車に抜かれてしまうものです。
また、当初はトランスミッションの変速などに少々難があったり、スポーツ走行後の補償やメンテナンス、カスタマイズの点で色々と問題がありましたが、数年後にはそれらの点は解消されています。
年々熟成を図ることで、登場当初と基本構造は同一ながら、熟成されたモデルへと成長していきました。
しかし、性能向上に合わせて価格も上昇していきます。毎年変更を行うモデルイヤー制を採用していましたので、ほぼ毎年性能向上と価格アップが行われていったのです。
そして、世界的にスポーツモデルでも電動化の傾向がみられるようになった2024年3月、マイナーチェンジと同時にとうとうファイナルエディションを名乗るモデルが登場しました。
このモデルは、エンジン各部の精度の向上による性能向上や新しい内装色の設定などにより、価格は驚愕の最高3000万円超となりました。
単純計算で、登場時のモデルの約4倍の価格です。しかしこのモデルは、純粋なエンジン駆動のスポーツカーとしては最後になるかもしれません。
“GT-R 17年間の総決算“となるこのファイナルエディションは、高性能を発揮したモデルとして歴史に名を遺すことが約束されています。
3000万円超の価格ですが、もしかしたら後世には「バーゲンプライスだった」と言われるかもしれません。
※ ※ ※
昭和時代には、「登場したばかりの新車はトラブルがあるから買うな。フルモデルチェンジ直前のクルマが完成度が高く買い得」などという考え方もありました。
これは現在ではあまり聞かなくなった話ですが、それでもモデル登場から1-2年ほど経過すると各種のトラブルやネガティブな要素が解消され、クルマとしての完成度が高まることはあるようです。
また、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを行うことで、旧モデルのユーザーに古臭さを感じさせて買い替えを促すビジネスモデルは2000年頃から徐々に衰退し、変更のための変更という内容も少なくなっています。
これらのことから、自動車メーカー側も安易な化粧直し程度のマイナーチェンジはやめて、力の入ったフルモデルチェンジを実施するようになったのかもしれません。
つまりロングライフなモデルだからと言って、次のモデルを待つことはあまり意味をなさなくなっているようです。
欲しいと感じたときが買い時だと思って、安心して購入できる時代になっているのかもしれません。
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