スズキ「最上級スポーツセダン」あった!? 「豪華内装」×6速MTもアリ! 登場時期待されるも今じゃ“ほぼ覆面”のレアモデルとは

かつてスズキには、フラッグシップとして販売されたセダンがありました。どのようなモデルなのでしょうか。

期待されたスズキ「高級セダン」… 見かけたら“ほぼ”覆面パトカー

 スズキといえば「ジムニー」や「スペーシア」、「エブリイ」に「スイフト」と軽自動車からコンパクトカーを得意とするメーカーというイメージをもっている人も多いことでしょう。
 
 そんなスズキですが、過去にはラインナップの中ではフラッグシップモデルとなるミドルセダンを製造、販売していたことがありました。それが2009年10月に国内販売をスタートさせた「キザシ」というモデルです。

期待のスポーツセダンだったがほとんど「覆面」に…
期待のスポーツセダンだったがほとんど「覆面」に…

 キザシは2007年のフランクフルトモーターショーで発表された「コンセプト・キザシ」に端を発し、同年10月に開催された東京モーターショーでは第2弾モデル「コンセプト・キザシ2」が発表されました。

 そして2008年のニューヨーク国際オートショーで「コンセプト・キザシ3」が発表され、ついに2009年に発売に繋がったのでした。

 コンセプトモデルでは、モデル毎にボディタイプが異なっており、初代がシューティングブレーク風のハッチバックとワゴンのクロスオーバー、2代目が高い車高と大径タイヤを備えるクロスオーバーSUV、そして3代目がセダンとなっており、奇しくも現在販売中の新型「クラウン」シリーズに似たラインナップとなっていました。

 実際に市販化されたキザシは、全長4650mm×全幅1820mm×全高1480mmというボディサイズで、現行車では「シビックハッチバック」に近いものとなっています。

 エクステリアは張りのあるショルダーラインや精悍なヘッドライトを装備してスタイリッシュに仕上げたほか、インテリアにはサテンメッキパネルを装着するとともに本革シートを標準装備するなど、高級感あふれる仕上がりとなっています。

 パワートレインは2.4リッターの直列4気筒DOHCエンジンとCVTトランスミッションを搭載し、前輪駆動のほか電子制御システムを搭載した4WDも設定しました。

 さらに日本だけではなく北米や欧州にも輸出され、輸出仕様には6速MTも用意されるスポーツセダンとしての性格も持ち合わせています。

 リアサスペンションには複雑なマルチリンクサスペンションを採用するなど、実は走りにもこだわりが詰まった1台となっていたのでした。

 しかし、残念ながら日本国内では、「スズキ=小さなクルマ」のメーカーというイメージが強すぎたのか、キザシの販売は低迷を極めてしまいます。

 そんなキザシでしたが、2013年からはなんと警察車両に導入されるようになります。

 この警察車両向けのキザシは市販モデルとは異なり、本革シートはファブリックシートに変更され、フォグランプやパーキングセンサー、シャークフィンアンテナ、パドルシフト、クルーズコントロールといった快適・豪華装備が省かれた廉価仕様となっていました。

 ただし、日本国内では2015年末の終売までに累計3400台弱しか販売されておらず、そのうち警察車両として導入されたのが900台ほど。

 こうしたことから、「キザシ=警察車両」というイメージが付いてしまいました。

 そのため、一般車に紛れるための覆面パトカーとして導入されていたにもかかわらず、キザシであること自体が警察車両の証明のような状況になってしまったことで、一部の車両はフロントグリルを社外品に交換したり、リアのスズキエンブレムをはがしたりと、少しでも気付かれないようにする変更もなされていたほどです。

 ちなみにキザシのほとんどは刑事が内定捜査などで使う「機動捜査隊」の車両として導入されているため、スピード違反など一般的な交通取り締まりには従事していませんが、それでも街中で見かけるとドキっとしてしまいます。

 現在は導入から10年以上が経過したことで一般ユーザーのものはおろか、メンテナンスが行き届く警察車両のキザシですらも徐々に姿を消しているようで、今後はさらにレアなモデルになってしまいそうです。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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