トヨタ「カローラ」なぜ“旧型モデル”を継続販売する? しかも意外と売れている!? 「5ナンバー車」が求められる現状とは
やっぱり日本では「5ナンバー車」が人気?
カローラアクシオとフィールダーは、5ナンバー車が減った今では貴重な存在です。
根強い需要に支えられ、販売店では「カローラフィールダーは今後も改良をおこなって販売を続けて欲しいです。実際にそうなる可能性も高いです」と述べています。
その一方で、3ナンバーサイズのカローラでは、前述の通りSUVのカローラクロスとワゴンのカローラツーリングを合計するとシリーズ全体の70%を占めており、5ドアハッチバックのスポーツとセダンは少数派です。
この内、セダンはカテゴリー全体の人気が下がり、ほかのセダンでも販売の好調な車種はほとんどありません。
セダンのなかでも、登録台数がもっとも多いのがカローラセダンです。カローラシリーズ全体に占めるセダンの販売比率は9%と少ないですが、それでも1か月平均で1100台から1200台は登録され、セダンのカテゴリーではベストセラーです。
カローラスポーツのような3ナンバー車のミドルサイズハッチバックも、今では売れ行きを減らしました。
外観が似ている5ナンバーサイズのコンパクトカーが豊富に用意され、運転しやすくて価格も割安になるからです。
しかもコンパクトカーは、ボディが小さいのに車内の広さはミドルサイズハッチバックと比べて大差ありません。
走行性能や乗り心地はミドルサイズハッチバックが優れていますが、多くのユーザーは運転がしやすく実用的で価格の割安なコンパクトカーを選びます。
特にトヨタは、コンパクトカーの「ヤリス」と「アクア」を割安な価格で設定して販売も好調です。この2車種と比較されると、カローラスポーツは不利で売れ行きも低迷しています。
日本はやはり「5ナンバー車王国」なのでしょう。5ナンバーサイズのコンパクトカーが好調で、カローラスポーツのような3ナンバーサイズのハッチバックは低調です。
3ナンバーサイズのカローラセダンも売れず、5ナンバー車のカローラアクシオ/フィールダーが長続きしています。
日本車では長い商品開発の実績によって5ナンバー車の商品力が優れ、今でも日本の道路環境や平均所得との親和性が高いです。
ヤリスなどと同じGA-Bプラットフォームを使って、5ナンバーサイズに収まる安全性の優れた新型カローラアクシオ/フィールダーを開発して欲しいです。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
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