えっ、他の路線バスと違う!? 自動操舵すでに実現「バスと電車のいいとこ取り」の乗り物なぜ生まれた?

「自動操舵」20年前から存在!?

 このガイドウェイバスの導入が検討され始めたのは1986年頃。ちょうどこの頃は「志段味ヒューマン・サイエンス・タウン」の建設が検討されていた時期だそうです。

 この開発に伴い、増大する人口の移動手段として、すでに開発済みかつ既成市街地内の道路が渋滞している区間を「高架軌道区間」に、今後徐々に開発が進むだろう志段味地区内を道路や市街地の整備状況に合わせ段階的な整備が可能な「平面道路区間」として、デュアルモード走行が可能な「ガイドウェイバスシステム」を導入することとしました。

 この志段味地区を含む守山区は、名古屋市の中で唯一地下鉄路線のない行政区です。そのため、ガイドウェイバスは地下鉄の代わりともいえます。

 そんなガイドウェイバスにはおもしろい特徴があります。高架軌道上ではハンドル操作の必要がないこと。自動運転が注目される昨今ですが、ある意味、運転士の介在しない安全な自動操舵システムが20年以上前から存在していたことになります。

ゆとりーとライン
ゆとりーとライン

 また、ガイドウェイバスは、前輪のタイヤの中に「中子」と呼ばれる鉄輪が組み込まれています。このため、万一高架軌道上でパンクしても立ち往生することなく、運行を継続できるようになっています。

 さらに開発などの場面で苦労した点を聞くと、担当者から次の回答がありました。

「ガイドウェイバスは、名古屋市役所や名古屋ガイドウェイバスが開発したものではなく、当時の建設省土木研究所と鉄道系のメーカー4社が共同開発したもので、1989年に福岡市で開催されたアジア太平洋博覧会の会場内輸送手段として初めて運用されたものです。

 このガイドウェイバスを全国で初めて軌道法の認可を受けて実用化したのが、ガイドウェイバス志段味線です。

 ガイドウェイバス志段味線は、高架の軌道区間と平面の道路区間とを乗り換えなく、デュアルモードで走行するため、その切替部に「モードインターチェンジ」を設けておりますが、このモードインターチェンジで求められる機能、確認手順、それを実現するための具体的な機器等について、海外での先進事例(ドイツ・エッセン市、オーストラリア・アデレード市のO-Bahn)などを参考に、名古屋市役所として上記の開発メンバーと共同で検討を重ね、認可をいただくことができました。

 開発段階では、上記のデュアルモード走行のために、平面の道路区間では法律上案内装置がタイヤの外側に飛び出さないことが求められることから装置を折りたたむ必要があるため、特にその開発に苦労したと聞いております。

 また、通常の路線バスとしての道路運送法の規定だけでなく、軌道法の規定も満足させるための様々な車両改造や車両整備、運転免許等の調整・協議もずいぶん苦労したと聞いております」

【画像】車体サイドに生えてる独自装備の鉄輪「中子」を写真で見る(12枚)

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