ミシュラン「e・PRIMACY」「PILOT SPORT EV」をテストコースで試乗 電動化時代に向けた最新タイヤの実力は?

ミシュラン史上で最も低燃費なプレミアムコンフォートタイヤ「e・PRIMACY」とスポーツEV・スポーツハイブリッド専用タイヤ「PILOT SPORT EV」をモータージャーナリストの岡本幸一郎氏に試してもらいました。

2050年までにすべてを持続可能なタイヤに

 タイヤというのは、主原料の天然ゴムに加え、合成ゴム、金属、繊維、加硫用の硫黄など、200種類以上の素材で製造されています。ミシュランの場合、すでに天然素材もしくはリサイクルされた持続可能な原材料を30%使用していますが、それを2030年までに40%に引き上げることを目標にしています。さらに、「Everything will be sustainable」というスローガンを掲げ、2050年までに全てを持続可能なタイヤにするとコミットメントしています。

 持続可能なタイヤへの取り組みの一例として、エアレスタイヤ「ミシュラン アプティス・プロトタイプ」での公道における試験走行が挙げられます。シンガポールにおいて、DHL Expressとの提携により、最終拠点から配送先までの区間でおこなっているもので、2023年末までに約50台の車両が走る予定となっています。

ミシュラン「e・PRIMACY」「PILOT SPORT EV」をテストコースで試乗
ミシュラン「e・PRIMACY」「PILOT SPORT EV」をテストコースで試乗

 パンクにより早期廃棄となるタイヤは世界中で年間2億本(=200万t)にも上ると推定されています。さらに、空気圧管理等のメンテナンス負荷やパンクによるダウンタイム、廃棄タイヤの抑制によって環境負荷などを低減できることから、持続可能なタイヤとしてエアレスタイヤへの期待は小さくありません。
 
 また、2025年をめどに開発中の「標準タイヤ」のプロトモデルでは、天然ゴムの割合を増やすとともに、カーボンブラック、ひまわり油やバイオ由来樹脂、もみ殻性シリカ、再生スチール等を使用し、サステナブル素材の含有率を引き上げることに成功したそうです。

 さらに、LCA(=ライフ・サイクル・アセスメント)に対しても、原材料調達から使用後それぞれの段階で考慮し、2050年までに、前述の原材料はもとより、CO2排出量ゼロの生産工場の実現、輸送時におけるCO2排出量の削減、省資源でより低転がり抵抗かつ長持ちするタイヤの開発、現在の廃棄物の将来的な資源への変換などの取り組みをしていく予定です。

 中でも、使用中の性能がLCAに大きく影響する、耐摩耗性能と転がり抵抗について、新規開発製品では常にLCAのスコアを管理して注力し、タイヤの交換頻度を減らし、CO2排出量を低減していくとのことです。

 そんなミシュランの現在を象徴する、主に電動車に向けたサステナブルな2つの製品があります。ミシュラン史上で最も低燃費なプレミアムコンフォートタイヤであり、少し前にコンパクトカー・軽自動車の電動車向けサイズが追加されたばかりの「e・PRIMACY」と、スポーティな電動車に向けて開発された「PILOT SPORT EV」を、栃木県のGKNのテストコースで開催された「サステナブル試乗会」の場で試すことができました。

ウエットのハンドリング路で「e・PRIMACY」と「ENERGY SAVER 4」を比較試乗
ウエットのハンドリング路で「e・PRIMACY」と「ENERGY SAVER 4」を比較試乗

 まずは、「e・PRIMACY」を装着したサクラを、ウエットハンドリング路で乗りました。「e・PRIMACY」は、転がり抵抗性能「AAA」を21サイズで達成(7サイズ取得中)するとともに、静粛性や性能維持力も高められています。同じウエット性能が「C」で、転がり抵抗が「A」のミシュランの低燃費タイヤである「ENERGY SAVER 4」と乗り比べることもできました。

 このコースは水をまくとかなり滑りやすく、ウエット性能が同等の一般的なタイヤで攻めた走りを試すと、アンダーステアに終始しますが、「e・PRIMACY」は滑る中でも粘り腰のグリップがあり、コントロール性が高く、リアも程よく流れ、常に回頭性が確保されるので安心して走れます。

 一方で、同じように走れるはずと思った「ENERGY SAVER 4」が、意外にもロードノイズが大きく、コースインすると全体的にグリップがやや低く感じられたことに驚きました。それゆえ最大Gが上がらないので、同乗していた編集担当氏は、いくぶん楽に体を保持できたそうです。ただし、ターンインでのノーズの入り方や、アクセルオフでリアが絶妙に巻く感覚は「e・PRIMACY」と似ています。そのあたりはミシュランならではのノウハウがあるのでしょう。開発のタイミングや技術によるものか、同じ「C」でも幅があることがよくわかりました。

 また、ノートe-POWERに「AA」の「e・PRIMACY」と「A」の「ENERGY SAVER 4」を装着して、転がり抵抗の違いによりどのような差があるのかのデモを見学しました。車両をキャリアカーに乗せて荷台を斜めにしてどこまで惰走するかを比べると、思った以上に差がつくことに驚きました。「AA」と「A」の差は小さくありません。

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