家電量販店で「新車」が買える!? ヤマダデンキが三菱の「EV販売」再開で目論む「次のステージ」とは

「個人ユーザー」に向けた販売に拡大するのはいつ!?

 では、どうして神奈川と埼玉から事業を始めるのでしょう。

 ヤマダデンキでは、三菱の国内販売子会社である東日本三菱自動車販売の販売テリトリーであること、またヤマダデンキの自動車販売拠点と法人営業部がある店舗から事業を始めるためだとしています。

三菱の市販EVが勢ぞろい! ヤマダデンキが今回販売する予定の三菱「ミニキャブ・ミーブ」(左)と「eKクロス EV」(右)、そして中央はかつて販売していた「アイ・ミーブ」
三菱の市販EVが勢ぞろい! ヤマダデンキが今回販売する予定の三菱「ミニキャブ・ミーブ」(左)と「eKクロス EV」(右)、そして中央はかつて販売していた「アイ・ミーブ」

 まず、最初の5店舗で店頭に展示。法人営業車両としても導入するといい、また将来的にはオンライン販売も検討するとのことです。

 なおヤマダデンキでは、現時点で全国展開の予定はないと説明します。

 整備や車検などメンテナンス業務については、ヤマダデンキがパートナーとしている、JARWA(一般社団法人 日本自動車車体補修協会)に依頼。

 中古車販売については、東日本三菱自動車販売と調整しながら行います。

 また、EV事業で重要となる電池のリサイクルについては、自社での電池リサイクルではなく、三菱との情報交換を踏まえながら、今後進めていくという回答でした。

 このように、ヤマダデンキがすでに構築している自社の自動車販売網と、パートナー企業との連携をさらに強化することで、EV販売はスムーズに進みそうに思えます。

 さて、気になるのは個人向け販売です。

 当面は法人向けのミニキャブ・ミーブが事業の主流ですが、そうした法人向け事業で足場固めをした上で、個人向けの事業化が加速することを期待したいところです。

 むろん、2010年から2013年での知見や反省を踏まえて、世の中のEVシフトの実態をベストタイミングで捉えるといった視点での事業展開を考えることが大事でしょう。

 ただし、法人向けにしろ個人向けにしろ、商圏を拡大するとなると、既存販売店(新車ディーラー網)とのテリトリー制の調整など、クリアしなければならないハードルは様々あるはずです。

 そのため、今回のヤマダデンキによる三菱とのEV事業連携の再開が、同社による新車販売綱の再建に直結するといった未来図を、現時点で描くことは少々無理があると感じます。

 とはいえ、ヤマダデンキといえば近年、キッチン、バス、トイレなどのリフォーム事業に積極的に参入していることで知られています。

 テレビショッピングでも数百万円のパッケージ商品が人気になっているといいます。

 近い将来、V2H(ヴィークル・トゥ・ホーム:車と家の電力連携)という切り口で、EV+普通充電器+太陽光パネル+定置型蓄電池といった、個人向けパッケージ商品が「EVのワンストップサービス」として、ヤマダデンキのテレビショッピングに登場することがあるかもしれません。

 今後も、「ヤマダデンキ×三菱自動車」の取り組みを注視していきたいと思います。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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1件のコメント

  1. 私は昨年建てた自宅は、ヤマダホームズのFelidia。ZEH対応可能な住宅だった。当時は太陽光発電と蓄電池を勧めてきたが断って、長期優良認定住宅にして、太陽光発電9kWhと全館空調システムは自分で手配した。 その後V2Hを設置。 アウトランダーPHEVとリーフで蓄電機能を使って、電気代とガソリン代が気にならない生活になっている。
    家電量販店だからなのか新築時の家電類は独自10年保証してくれるし、ここでよかったと思っている。 
    新築と電気自動車とV2Hと太陽光発電をセットで販売できるのはトヨタホームも可能だろう。
    面白いね。電気自動車の駆動用バッテリーの保証もしてくれないかな。

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