助手席にある「謎の穴」は何のため? 高級セダンにあった「貫通穴」の意味とは

ハイヤーのドライバーに聞いた「貫通式オットマン」で最も気になること…

 ハイヤーのドライバーさんは次のように話します。

「実際に貫通式オットマンの機能を使うかどうかは、乗られるお客様の判断に委ねていましたが、やはり周囲の目がある環境で使われる方は少なかった印象ですね。

 逆に酒席のあとやゴルフの帰り道など、リラックスした環境では使われる方もいらっしゃいました」

2018年に3代目へ刷新したトヨタの最高峰サルーン「センチュリー」は、高級ミニバンが普及した今も各界のVIPから愛され続けています
2018年に3代目へ刷新したトヨタの最高峰サルーン「センチュリー」は、高級ミニバンが普及した今も各界のVIPから愛され続けています

 ちなみに、貫通式オットマンを通して、助手席の上に後部座席に座るVIPの足先が「ニュっ」と出てくることに関して、気になる「ニオイ」などはなかったのかについてもたずねてみました。

「さすがに運転中にニオイが気になる…ということはありませんでした。

 トヨタ最上級の『センチュリー』などはともかく、比較的コンパクトな『クラウンセダン』などでは、モゾモゾと動く足の指が気になることは何度かありました」

 ということで、運転中も車種によっては意外と目に入るようです。

 そんな往年の高級セダンのオットマン機能ですが、いつしか消滅していきました。

 助手席の座面まで貫通している状態だと、万が一事故が起きたときにはさまざまなリスクをもたらします。

 特に、シートベルトをしていても、衝突時に身体が滑り落ちてしまう「サブマリン現象」が生じたり、足や身体をシートの骨格で挟んでしまって、予期せぬダメージを負ってしまう可能性もゼロではありません。

 乗員の安全性を考慮した結果、近年の装着車は減少しています。

 現在のトヨタのフラッグシップセダンであるセンチュリーにも、助手席後方にオットマンは備わっているものの、助手席背もたれは貫通しないタイプとなっています。

 時代の流れと共に、上級装備の内容も変わっているようです。

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Writer: 小鮒康一

1979年5月22日生まれ、群馬県出身。某大手自動車関連企業を退社後になりゆきでフリーランスライターに転向という異色の経歴の持ち主。中古車販売店に勤務していた経験も活かし、国産旧車を中心にマニアックな視点での記事を得意とする。現行車へのチェックも欠かさず活動中。

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