街じゅう丸ごと「時速30km」制限の大胆施策!? 電動キックボード「時速10km」制限も パリ市街の事例から考える「まちづくりの未来」とは
住宅街などでクルマの速度規制を行う「ゾーン30」の取り組みについて、日本国内やパリの事例を紹介します。ただの交通対策にとどまらず、将来のまちづくりにも関わる重要な施策だといいます。
生活道路での歩行者を守るため開始された「ゾーン30」の取り組み
街中などの生活道路で「ゾーン30」という標識や道路標示を見たことはありますか。
最高速度が時速30kmに制限されている区域(ゾーン)のことです。
ゾーン30の実施が始まったのは2011年からで、今年2022年で11年目を迎えました。
その数は2020年度末までに全国で4031か所まで広がっています。
では、そもそもなぜゾーン30という考え方が実施されることになったのでしょう。
警察庁によりますと、ゾーン30はその区域(ゾーン)に暮らす人々の生活道路の安全を第一として、ゾーン内の速度抑制やゾーン内を抜け道として通行する行為を抑制するため、様々な安全対策を行うものだと説明しています。
確かにゾーン30が設定されている区域は、小中学校がある住宅地や、商店街の周辺など、歩行者や自転車の通行が多いところに思えます。
ここでキーポイントとなるのが、車道の幅員(ふくいん:横幅)です。
幅員が5.5m以上と、5.5m未満の道路での死傷事故の違いについて、警察庁調べによる2020年度の全国データで比較してみましょう。
自転車乗用中の場合、5.5m以上での死傷事故が14.7%なのに対し、5.5m未満の道路では29.4%です。
また歩行中が5.5m以上の幅員で8.8%のところ、5.5m未満では12.0%とやはり死傷者が占める割合が上がっていることが分かります。
これは狭い道において、抜け道として速い速度で走行するクルマが、自転車や歩行者の飛び出しなどを避けることが難しい、といったケースが考えられます。
そのためゾーン30での規制は、時速30kmでの速度制限や標識での注意喚起だけにとどまらず、さまざまな交通対策がとられています。
例えば、道路の中央線を抹消し、路側帯を新設して車道幅を狭めることで車速を抑制したり、信号機の制御を見直しや大型車の通行禁止、物理的に路面へ凹凸をつけた「ハンプ」を設けたりするなど、様々な方策を講じているところです。
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