ホンダ「フィット」なぜ販売が伸び悩む? 歴代オーナーに聞く「現行モデルに乗り換えない」理由
5つのスタイルがわかりづらい!?
初代フィットの元オーナーYさん(40代・女性)は次のように話します。
「現行フィットも良いなと思ってはいたのですが、『リュクス』とか『ネス』といったグレードがわかりづらいと思いました。
ライフスタイルで選ぶといいますが、それよりも、これまでのように装備の違いでグレードを分けてくれたほうが助かります」

現行フィットのグレードは、「ベーシック」「ホーム」「ネス」「リュクス」「クロスター」という5つが用意されており、グレードによってフロントマスクのデザインやシートが違うなど、キャラクターがガラリと変わります。
グレード展開自体は決して複雑ではないのですが、好みの1台を絞るのが難しいといったところでしょう。
ホンダの軽自動車「ライフ」から3代目フィットに乗り換えたKさん(30代・女性)は、次の愛車に現行フィットではなく「N-BOX」を選択。その理由を次のように説明します。
「現行フィットは全体的に良くなっているのでしょうけれど、どこが良くなったのかというのがわかりづらいように思います。
3代目フィットのような『カッコイイ系』ではなく『おっとり系』のスタイリングにも違和感があり、そんなときに機能面で十分以上、スタイリングもシンプルなN-BOXに出会ってしまいました」
スタイリングに関しては好みによるので難しいところですが、フィットに勝るとも劣らない出来の良さが評判のN-BOXをチョイスする歴代フィットオーナーも少なくないといいます。
また、ホンダのコンパクトミニバン「フリード」も好敵手で、2022年の月間販売台数ランキングでは常にフィットより上位に位置しており、身内のライバル争いも激化しているようです。
なお、3代目と比べて、現行フィットがカタログスペックで大きく上回るのはハイブリッド車のモーターの出力。ガソリン車においてはエンジン出力が2馬力ダウンし、燃費性能(JC08)もわずかに悪化しています。
これはフィーリングを重視したからというのですが、運転のしやすさからスペック以上に力強く感じられ、また実走行での燃費は旧型より良い数値が出るというオーナーが多いようです。
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現行フィットに乗り換えなかった理由を歴代フィットオーナーに聞いてみましたが、その一方で、現行フィットを購入して「とても良かった」という意見も少なくありません。
具体的には「上質でコンパクトカーとは思えない」「ダッシュボードが平らで視界が良くて運転しやすい」「ホンダセンシングが優秀で高速道路が楽になった」「液晶のメーターがシンプルで見やすい」などといった声がSNSで見受けられます。
現行フィットが「良いクルマ」であることは間違いありませんが、思うようにセールスが伸びなかったのは、ライバルのトヨタ「ヤリス」と同じ2020年2月に発売されたことや、当時は新型コロナウィルスが未知のものとしてニュースを独占していた時期でもあり、タイミングが悪かったというのもあるでしょう。
現在は特別仕様車の投入などで盛り返しつつありますが、2022年秋に実施されるであろうマイナーチェンジでさらなる挽回が期待されています。
Writer: くるまのニュースライター 金田ケイスケ
2000年代から新車専門誌・輸入車専門誌編集部を経て独立。専門誌のみならずファッション誌や一般誌、WEB媒体にも寄稿。
中古車専門誌時代の人脈から、車両ごとの人気動向やメンテナンス情報まで幅広く網羅。また現在ではクルマに限らずバイクやエンタメまで幅広いジャンルで活躍中。



























