目障り? 便利? クルマの「ヘッドアップディスプレイ」使ってわかった〇と×

走行速度やナビなどの情報が投影される「ヘッドアップディスプレイ」は、現在ではオプション設定も含めてさまざまな車種に搭載されています。ヘッドアップディスプレイの使い勝手はどうなのでしょうか。

視線の先に情報を表示する「ヘッドアップディスプレイ」

 運転席前方のフロントガラスに、走行速度やナビなどの主要なインフォメーションが投影される「ヘッドアップディスプレイ(HUD)」。もともとは軍用(戦闘機など)として開発された装備です。

 日本では1988年登場の日産「シルビア」(5代目・S13系)に速度表示のみながらメーカーオプション設定されたのが初といわれており、以来30年以上もの歴史があります。

ヘッドアップディスプレイ(コンバイナー型)
ヘッドアップディスプレイ(コンバイナー型)

 HUDは大きく分けて2種類あります。直接フロントウインドウに投影するタイプと、専用の投影板(コンバイナー)に映すタイプですが、最近はフロントウインドウ投影タイプが主流になりつつあるようです。

 なかでもトヨタでの採用率はかなり高く、「アクア」「ヤリス」といったコンパクトカーや「カローラ」シリーズにオプション設定。「プリウス」「カムリ」「ハリアー」「ランドクルーザー」などには標準装備されています。レクサスなどは一部モデルを除きオプション設定ながらHUDも装備可能となっております。

 またマツダもすでに主力車種はHUDの普及に力を入れており、すでにほとんどの車種で標準装備化されています。さらにスズキもオプション扱いは多いものの、「スペーシア」には全車標準装備。「ワゴンR」はオプション設定となるものの、HUDが用意されています。

 そんなHUDのメリット・デメリットは何でしょうか。

 メリットは走行中の視線の移動量が少なくて済むこと。これが平均速度も低く信号などで停車もする一般道はともかく、1秒でかなりの距離が進む高速道路の走行では、瞬時にさまざまな判断をする必要があるので、前方へと向けられた視線をほとんど外さずに済むというのは、安全面に大きく貢献してくれます。

 さらに、単純に視線の移動量だけでなく、焦点調整(目のピント調整)が少なく済むのも大切なポイント。

 走行中、数十m先に焦点が合っている視線を手元のメーターに合わせるのは多少時間がかかるものですが、メーターより奥のフロントウインドウなどのHUDだと情報を認識するまでの時間も短縮され、「認知・判断・操作」という運転作業も早くできるということになります。

 一方で、デメリットというほどではありませんが、HUDの表示を煩わしいと感じる人も多いようです。

 とくに専用の投影板を使うコンバイナー型は、情報を読み取る際、フロントウインドウより手前の投影板に焦点を合わせる必要があり、結果として「気が散る」「なくても不便を感じない」「ほかの装備に金かけてくれ」という意見もあります。

 それでも採用が進む理由は、さまざまな運転支援システムの情報を表示するのに大きな役目を果たしてくれていることが大きく関係していそうです。

 最新のHUDはナビと連携した目的地までの誘導(矢印)や速度表示だけでなく、システムと連動した道路標識情報(制限速度など)や前方との車間距離、レーン逸脱の監視、左右斜め後方からの接近車を知らせるブラインドスポット情報なども表示。

 今まではサイドミラー内で警告灯が表示されるケースの多かったブラインドスポット情報などが、正面を向いたまま認識できるのは、安全面でも非常に大きい役割を果たしているといえます。

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