スポーツカーの原点が1970年代に誕生! 昭和に発売された大衆車ベースの高性能車3選

1980年代以降、今も語り継がれるような高性能スポーツカーが数多く誕生しましたが、その原点となるモデルは1970年代初頭に確立されました。そこで、昭和の時代に登場した大衆車ベースの高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。

まさに原点といえる昭和の大衆高性能車を振り返る

 国産車の高性能化は1980年代に一気に加速し、さらに1990年代は高性能スポーツカーが大きく進化した時代といえ、今も語り継がれるようなハイスペックモデルが数多く登場しました。

1970年代初頭に誕生した大衆車ベースの高性能モデルたち
1970年代初頭に誕生した大衆車ベースの高性能モデルたち

 これら高性能車は突然誕生したわけでなく、1960年代の後半から1970年代の初頭にかけて、すでに確立されていました。

 当時は各メーカーとも、イメージアップ戦略と技術の向上を図るためモータースポーツに積極的に参加し、さらに排出ガス規制の強化の前、そして第1次オイルショック前ということもあり、高性能車が次々と登場。

 しかも、高額なスポーツカーだけでなく、比較的安価で庶民的なモデルも存在しました。

 そこで、1970年代に発売された大衆車ベースの高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●三菱初代「ランサー 1600GSR」

モータースポーツで活躍し、三菱のラリー車のイメージを確立した初代「ランサー 1600GSR」

 三菱は1969年に、初代「コルトギャラン」を発売。スタイリッシュなボディに同社初のSOHCエンジンを搭載するなど意欲作で、たちまちヒットを記録しました。

 そして1973年1月には、コルトギャランに続いてエントリーモデルの初代「ランサー」が誕生、

 外観は直線基調のコルトギャランに対し柔らかな曲面で構成され、丸型2灯のヘッドライトまわりをアクセントとしたフロントフェイスの低く長い「エアロノーズライン」が斬新でした。

 ボディは当初4ドアセダンのみでデビューしましたが、1973年8月には2ドアノッチバッククーペとライトバンが加わりました。

 デビュー当初のエンジンは1.2リッター、1.4リッター、1.6リッターの直列4気筒をSOHC設定。

 そしてスポーティグレードの2ドアクーペ「ランサー 1600GSR」は、最高出力110馬力(グロス、以下同様)を誇る1.6リッター直列4気筒SOHCソレックスツインキャブエンジン「4G32型」が搭載されました。

 また、1600GSRのトランスミッションは5速MTを標準装備し、車重は825kgと軽量で、コルトギャランの各種ラリー出場での経験を活かした足まわりのセッティングとなっていました。

 初代ランサーは軽量ボディにパワフルなエンジンを搭載したことから走りのポテンシャルは高く評価され、国内外のラリーで活躍したことからランサー=ラリー車というイメージが定着しました。

 そして時代は進み、初代ランサーのDNAは「ランサーエボリューション」シリーズへと受け継がれました。

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●トヨタ「TE27型 カローラレビン」

文字どおり大衆車ベースの高性能車の代表的な存在の「TE27型 カローラレビン」

 トヨタは1966年に、マイカー時代の到来を見据えた初代「カローラ」を発売。わずかに早くデビューしていた日産(ダットサン)「サニー」とともに、大衆車市場をけん引する存在となりました

 そして、1970年には2代目が登場し、よりモダンなデザインとなり性能向上も図られました。

 さらに、この2代目カローラの2ドアクーペをベースに開発され、比較的安価で高性能なモデルとして1973年に発売されたのが、初代「カローラレビン」です。

 外観はカローラクーペと同一のシルエットながら、レーシングカーをイメージさせるリベット留めのオーバーフェンダーを4輪に装着。

 トップグレードのエンジンは初代「セリカ 1600GT」用に開発された1.6リッター直列4気筒DOHCソレックスツインキャブの「2T-G型」を搭載し、有鉛ハイオク仕様で最高出力115馬力を誇り、無鉛レギュラー仕様の「2T-GR型」でも110馬力を発揮しました。

 また、廉価グレードの「レビンJ」もラインナップされ、ボディはそのままに、エンジンは最高出力105馬力(有鉛ハイオク仕様)の1.6リッター直列4気筒OHV「2T-B型」を搭載。

 足まわりはフロントにストラット、リアはリーフスプリングのリジッドアクスルと、当時のFR車では定番の形式で、後にリアがコイルスプリングに変わりつつ「AE86型」まで継承されました。

 初代レビンはラリーをはじめとするモータースポーツでも活躍したことで、走り好きな若者たちから絶大な人気を獲得。その後、2000年に7代目をもって生産終了となるまで、一貫して高性能な4気筒DOHCエンジン搭載車をラインナップし、若者から支持される存在でした。

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●ホンダ初代「シビック RS」

短命だったものの後のスポーティな「シビック」の基礎となった初代「シビック RS」

 ホンダは1972年に、それまでのホンダ車とはまったく異なる新世代のFFコンパクトカーとして、初代「シビック」を発売しました。

 ボディサイズは全長3545mm×全幅1505mm×全高1325mm(GL)と、現在の軽自動車よりもわずかに大きいだけのコンパクトさながら、FFの採用とボディ四隅にタイヤをレイアウトしたパッケージングによって、広い室内空間を実現。

 650kgほどの軽量な車体に最高出力69馬力(GL)の1.2リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載し、優れた燃費と軽快な走りから大ヒットを記録しました。

 さらに、1973年には排出ガス浄化技術「CVCC」を採用した1.5リッター車が加わり、アメリカでもヒットしてホンダの本格的な世界進出への足がかりとなりました。

 そして、このCVCC車が登場した直後の1974年には、短命に終わったホットハッチ「シビック RS」が発売されました。

 RSはCVCCを採用しないスタンダードな1.2リッターSOHCエンジンをベースに、CV型ツインキャブレターを装着し、最高出力は76馬力を誇り、トランスミッションはシリーズ初の5速MTを搭載。

 足まわりは欧州仕様のシビックと同等のハードセッティングで、タイヤは標準モデルの12インチから13インチにアップしたラジアルタイヤを装備し、それに合わせて前後のフェンダーアーチが拡大されました。

 内装ではスポーツシートにウッドステアリング、ウッドシフトノブを標準装備し、ダッシュボードには「RS」のエンブレムを装着することでスポーティに演出。

 しかし、RSは排出ガス規制の強化から1年も経たずに生産終了となりました。

 RSはライトチューンのモデルでしたが、後の「Si」や「タイプR」といったスポーティなシビックの先駆けとなったモデルといえます。

※ ※ ※

 2022年は日産新型「フェアレディZ」の発売と、ホンダ新型「シビック タイプR」の発表を控えており、スポーツカーファンにとって当たり年となりそうです。

 しかしこれらのモデルは、純粋な内燃機関を搭載したスポーツカーとして、シリーズ最後になると目されています。

 今後、フェアレディZやシビック タイプRが継承されるかは不明ですが、少なくとも将来的にEV化されるのは間違いないでしょう。

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