「SUBARU BRZ」でカーボンニュートラル社会に挑む! バイオマス燃料でS耐久参戦! ゼロから開発とは

「GR86」と一見変わらずも…大きく違う「SUBARU BRZ」の開発コンセプト…その真意とは

 参戦マシンはどうでしょうか。

 レースマシン制作はSUBARU技術本部の社員が担当。

 メンバーは各部署から集められていますが、専任ではなく本来の業務と兼務となっているのも特徴の1つでしょう。

「GR86」は最初から大幅なモディファイが行なわれていますが、スバルは「ベース車の素性を探る」ということで量産モデルから大きな変更を行なっていません。

ただ、各部は一見同じに見えますが、実際は異なるそうです。

「量産車は様々な制約で出来ない事もあります。レースは用途が限定されるので、それらも試すことができます。エンジン、ボディ、サスペンションなどには、様々なアイデアを盛り込んでいますよ」(本井氏)

 ロールケージを見るとGR86とは異なり、アイサイトのカメラの位置を上手く逃がした構造である事。量産車に装着されているBSM(後側方車両接近装置)をあえて外さずにそのままにしている所など、運転支援デバイスの活用も視野に入れているそうです。

 伸び代としては、GR86よりも大きいような気がしています。

 ただ、レースマシンの製作は一筋縄ではいかなかったものの、スバルは特に若い人のマンパワーで、ほぼ予定通りにねじ込んでくれたといいます。

 また、後日独自にスバル研究実験センター内で各部の動作確認とチェック走行が行なわれたそうです。

ロールケージを見るとアイサイトのカメラ位置を上手く逃がした構造となっている
ロールケージを見るとアイサイトのカメラ位置を上手く逃がした構造となっている

 それと並行して、2022年1月26日に中村社長や藤貫CTO、本井監督、ドライバーを担当する井口卓人/山内英樹選手と廣田光一氏(スバルのエンジニア)、さらにはレースオペレーションを担当するプローバの吉田寿博社長を交えて、スーパー耐久レース参加の決起会が開催されました。

 ゼッケン番号はスーパーGTと同じ「61」を取得した事、最初は信頼を確保しながら年間を通じて出力を上げていくことなどが報告されました。

 この際、豊田社長から中村社長に「是非、参戦してほしい」というお誘いには苦笑いだったようですが、「中村社長のドライビングスキルはかなり高い」(本井氏)との事なので、どこかのタイミングで試乗を行なう可能性はあるかも!?

 その時は、豊田社長とガチンコ勝負を是非ともお願いします(笑)。

 ちなみに、このタイミングで2021スーパーGT GT300クラスのシリーズチャンピオンを獲得した井口/山内選手に、中村社長からポスター(新聞広告の物)とBRZのモデルカー(各々の名前が刻印されたプレート付で世界に1つだけ)が手渡されました。

2022年1月26日にはスバル中村社長と監督、ドライバー達の顔合せがおこなわれた
2022年1月26日にはスバル中村社長と監督、ドライバー達の顔合せがおこなわれた

 ドライバーの二人とも「家宝にします」と喜びの表情だったといいます。この流れをぜひスーパー耐久レースにも繋げて欲しいです。

 このマシンがシーズンを通じてどのように進化・成長をするのか? 

 そしてGR86とのガチンコ勝負の結果はどうなるのか? 

 筆者(山本シンヤ)はその戦いを“平等”かつ“冷静”に追いかけていきますので、ご期待ください。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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