ホンダ「フィット」はなぜ苦戦? 身内に強敵!? 小型車人気でもライバル勢に勝てない理由とは

主力コンパクトカーの新型モデル投入が相次ぎ、販売も好調です。また、軽自動車も人気を博しており、小型車のニーズが高まっているなか、ホンダ「フィット」の販売が順調とはいえません。なぜフィットは苦戦するのでしょうか。

コンパクトカーや軽自動車が好調

 クルマには複数のカテゴリーがありますが、売れ行きを見ると、小型/普通車では5ナンバーサイズのコンパクトカーが好調です。国内で新車として売られる小型/普通車の約40%を占めています。

 もともと日本は道路と駐車場が狭いので、小さなクルマが使いやすいです。そのためにコンパクトカーの販売も好調ですが、最近はさらに販売比率が増えました。

2020年2月にフルモデルチェンジして登場したホンダ「フィット」(4代目)
2020年2月にフルモデルチェンジして登場したホンダ「フィット」(4代目)

 このようにコンパクトカーの人気が高まり、最近はフルモデルチェンジや新型車の投入も活発です。

 トヨタ「ヤリス」とホンダ「フィット」は2020年2月、スズキ「ソリオ」は同年11月、日産「ノート」は同年12月、トヨタ「アクア」は2021年7月、日産「ノート オーラ」は同年8月という具合に、コンパクトカーの新型車が相次いで登場しています。

 そして各車種ともに売れ行きは堅調です。

 2021年1月から10月の1か月平均登録台数は、ヤリスが約8660台(SUVの「ヤリスクロス」とスポーツモデルの「GRヤリス」を除く)、ノートは約7240台(「オーラ」を含む)、フィットは約4820台でした。アクアは現行型の発売後となる2021年8月から10月の1か月平均が9400台に達しています。

 なかでもノートとアクアは、ガソリンエンジンを用意しないハイブリッド専用車です。価格帯も高く、ノートと上級のオーラでは売れ筋が220万から270万円に達していますが、高価格車のみの設定ながら売れ行きは堅調に推移しています。

 またアクアは前述の通り発売後の1か月平均登録台数は9000台を超えています。

 同じプラットフォームを使うトヨタ「ヤリスハイブリッド」に比べると、アクアは後席の居住性、内装の質、乗り心地、静粛性などが上まわります。

 価格(消費是込み)は、ヤリスハイブリッドが199万8000円から252万2000円、アクアが198万円から259万円8000とほとんど変わらず、ヤリスハイブリッドよりも強い魅力を備えることでアクアは売れ行きを伸ばしました。

 そうなるとヤリスのユーザーがアクアに奪われます。直近となる2021年10月のヤリスの登録台数は4980台(ヤリスクロスとGRヤリスを除く)なので、前年10月の1万190台に比べると半数以下です。発売から時間が経過して目新しさが薄れ、アクアも割安な価格で投入された結果、ヤリスは以前に比べて勢いが弱まりました。

 しかしそのヤリスよりも売れていないコンパクトカーがフィットです。前述の通り2021年1月から10月におけるフィットの1か月平均登録台数は約4820台なので、ヤリスの約8660台(SUVのヤリスクロスとスポーツモデルのGRヤリスを除く)、ノートの約7240台に比べて圧倒的に少ないです。

 先代フィットの売れ行きは、2019年の1か月平均が約6200台でした。2019年はコロナ禍前なので差し引いて考える必要はありますが、それにしても先代型のモデル末期が約6200台、2020年に刷新された現行型が約4820台というのは、不満の伴う販売実績でしょう。

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