デカけりゃいいってもんじゃない! 5ナンバーサイズの高性能車3選

クルマの分類方法で、日本独自で施行されているのがナンバープレートによる種別区分です。一般的に使われている乗用車(登録車)では、5ナンバーと3ナンバーがほとんどで、ボディサイズと排気量で分けられています。なかでも5ナンバーサイズは、日本の道路事情にマッチしているという印象があります。そこで、5ナンバーサイズに収まっていた高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。

5ナンバーサイズで販売された高性能モデルを振り返る

 私たちが普段乗っているクルマ(登録車)のほとんどは、「5ナンバー」もしくは「3ナンバー」に種別されています。この区分は日本独自のもので、1955年には現在の様式が確立されました。

5ナンバーサイズで日本の道路事情にもマッチしていた高性能車たち
5ナンバーサイズで日本の道路事情にもマッチしていた高性能車たち

 5ナンバーや3ナンバーと呼称されるのは、登録された運輸支局を表す文字の横にある数字によるもので、自動車の種別による分類番号となっており、現在は3桁の番号が使われています。

 500番台は「小型乗用自動車」、300番台は「普通乗用自動車」に分類され、5ナンバーは全長4700mm以下×全幅1700mm以下×全高2000mm以下、排気量2000cc以下のすべてを満たす乗用車が該当し、それを超える乗用車が3ナンバーです。

 1989年の税制改正以前は、5ナンバーと3ナンバーで自動車税額が大きく異なったため、昭和の時代には大多数の登録車は5ナンバーサイズが基本でした。

 この税制改正以降はボディサイズは関係なくなり、排気量の区分で自動車税額が決まるようになったことと、税額も細分化されて排気量4.5リッター以下のクルマならば大きく引き下げられたことから、平成の時代には3ナンバー車が一気に増えることになったのです。

 今では3ナンバーでも排気量が小さければ税額も安いので、経済性の面では関係ないといえますが、日本の道路事情や駐車場事情から、コンパクトカーなど5ナンバーサイズにこだわったモデルもあります。

 さらに、かつてはフルモデルチェンジで3ナンバーサイズから5ナンバーサイズにダウンサイジングしたモデルや、税制改正後でも5ナンバーサイズをキープしたままのモデルも存在。

 そこで、5ナンバーサイズに収まっていた高性能モデルを、3車種ピックアップして紹介します。

●ホンダ「アコード SiR-T」

5ナンバーサイズに回帰して軽快さを取り戻した6代目「アコード」

 1976年にホンダ「シビック」の上位モデルとして誕生した「アコード」は、初代からグローバルで販売され、とくにアメリカ市場では2代目から現地生産が始まったことから、アメリカにおけるホンダの主力車種として代を重ねました。

 そして、1993年に発売された5代目はアメリカの安全基準に対応するため大型化され、日本ではシリーズ初の3ナンバー専用車として販売されました。

 ボディサイズは全長4675mm×全幅1760mm×全高1410mmと、先代から全幅が65mm拡幅され、国内市場でも概ね受け入れられましたが、先代ほどのヒット作にはなりませんでした。

 そこで、1997年に登場した6代目では「世界共通フレキシブル・プラットフォーム」という技術手法が取り入れられたことで、仕向地別にボディサイズやデザインなどの最適化が容易になり、日本仕様は全長4635mm×全幅1695mm×全高1420mmとサイズダウンして再び5ナンバーサイズへ回帰(ワゴンを除く)。

 その結果、日本仕様のアコードはよりスポーティなイメージを高めることに成功し、エンジンもトップグレードの「SiR-T」では最高出力200馬力を誇る2リッター直列4気筒VTECを搭載するなど、取りまわしがよく軽快でキビキビ走るスポーティさを取り戻しました。

 なお、2000年にはより高性能なモデル「ユーロR」が登場し、220馬力を発揮する2.2リッターエンジンを搭載していたことから、ボディもオーバーフェンダーが装着され全幅1720mmまで拡大されました。

 その後、2002年に7代目が登場すると再度3ナンバー専用車となり、以降は現行モデルの10代目まで3ナンバーサイズのままです。

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●日産「シルビア」

ボディのダウンサイジングによってシャープな印象となった「S15型 シルビア」

 前出のアコードと同じく、フルモデルチェンジでダウンサイジングされたモデルとして広く知られているのが、1999年に発売された日産「S15型 シルビア」です。

 1965年に高級スペシャリティカーとして日産初代「シルビア」が誕生し、代を重ねて1988年には5代目となる「S13型」が登場すると、シリーズ屈指の大ヒットを記録。

 その後、1993年に登場した6代目の「S14型」はS13型のコンセプトを継承しましたが、ボディサイズは時代の流れやグローバルでの競争力強化もあって、全長4520mm×全幅1730mm×全高1295mmまで拡大して全車3ナンバーとなりました。

 しかし、ボディ大型化と丸みを帯びたデザインは、既存のユーザーから不評でした。

 そこで、S15型ではボディがダウンサイジングされ、全長4445mm×全幅1695mm×全高1285mmと5ナンバーサイズに戻されたと同時に、ボディラインもエッジの効いたフォルムとすることで全体的にシャープな印象に変貌。

 さらに車両重量も20kgほど軽量化され、エンジンはS14型と同型の2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」ながら最高出力は220馬力から250馬力へとパワーアップし、新たに採用された6速MTと相まってFRスポーツとして走りのポテンシャルも向上しました。

 S15型の登場によって一時はシルビアの人気が回復したとみられていましたが、排出ガス規制強化などの対応が困難なことや、2ドアクーペのニーズの低下もあり、発売から4年に届かない2002年11月に生産を終了。シルビアの長い歴史に幕を下ろしました。

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●トヨタ「MR2/MR-S」

シリーズ最後のモデルとなってもコンパクトさをキープした「MR-S」

 トヨタは1984年に、記念すべき国産乗用車初のリアミッドシップ車、初代「MR2」を発売しました。

 ボディサイズは全長3925mm×全幅1665mm×全高1250mmとコンパクトで、デザインはシャープな直線基調のスポーツカーそのものといった印象です。

 上位グレードのエンジンは1.6リッター直列4気筒DOHCエンジン「4A-GELU型」を搭載し、FRの「AE86型 カローラレビン/スプリンタートレノ」、FFの「カローラFX」らとともに、1.6リッターのスポーティカーラインナップを形成しました。

 そして、1989年には2代目にフルモデルチェンジ。外観は初代からリトラクタブルヘッドライトを継承した低いフロントノーズが特徴で、搭載されたエンジンは最高出力165馬力の2リッター直列4気筒DOHC「3S-GE型」自然吸気エンジンと、225馬力を誇るターボエンジンの「3S-GTE型」の2タイプを設定しました。

 スポーツカーとしてポテンシャルが向上し、初代に続き欧州やアメリカで販売されるも、ボディサイズは全長4170mm×全幅1695mm×全高1240mmと5ナンバーサイズのままとされました。

 そして、1999年にはMR2の実質的な後継車として「MR-S」がデビュー。これまでとコンセプトを変えたオープン2シーターのミッドシップスポーツカーで、エンジンは全グレードとも140馬力を発揮する1.8リッター直列4気筒DOHC自然吸気の「1ZZ-FE型」を搭載。

 MR-Sの大きなトピックスとして、2000年に日本初のシーケンシャルトランスミッション搭載車を設定したことが挙げられ、2ペダルながらシフト操作はマニュアルでおこなう、レーシングカーをドライブするような体験が可能でした。

 このMR-Sも欧州をはじめとするグローバルで展開されましたが、ボディサイズは全長3885mm×全幅1695mm×全高1235mmと、むしろ2代目MR2よりもダウンサイジングされた設計です。

 初代MR2は時代背景的に小型なのは当然ながら、2代目MR2とMR-Sも5ナンバーサイズにこだわっており、軽量コンパクトなスポーツカーというコンセプトを継承していたということでしょう。

※ ※ ※

 日本が好景気だった1980年代の終わりに、メルセデス・ベンツ「190E」シリーズとBMW「3シリーズ」という2台の輸入車がヒットしました。

 当時、両車とも5ナンバーサイズに収まる車体で、それも日本でのヒットの要因のひとつでした。ほかにもフォルクスワーゲン「ゴルフ」も3代目までは5ナンバーサイズとなっていたなど、欧州車も昔はかなりコンパクトで、やはり決して広くない欧州の道路環境に対応していたと考えられます。

 現在は、これらのモデルも大型化してしまいましたが、衝突安全性の面や、さまざまな国や地域で販売する以上、ある程度の大型化は仕方のないことなのかもしれません。

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