ランボルギーニV12の波瀾万丈ストーリー 「アヴェンタドール」まで続いたDNAとは
「カウンタック」へ受け継がれたV12の進化
1960年代および1970年代初頭のV12モデルの成功に続き、1974年から生産に入った「カウンタックLP400」では、再びV12エンジンの搭載配置が変更されることになる。
LP400という名称は、4リッターのエンジンをリアに縦置き(イタリア語でLongitudinale Posteriore)したことを表すもの。パオロ・スタンツァーニ技師の発案による、エンジンとトランスミッションを前後逆転するという特異なレイアウトが採用された。
またガンディーニ氏の天才的なアイデアである、シザードアをはじめとした大胆なデザイン、明確なニュアンスを持ったディテールは、ランボルギーニのスーパースポーツカーのデザイン言語に新たな歴史を刻むとともに、300km/hの最高速度をもたらすV12エンジンは、ドライバーの耳の近くでさらに豪壮なサウンドを奏でることになった。
その後ランボルギーニ社は、幾度となく存亡の危機に襲われるが、そんな受難の時代にあってもカウンタックとV12エンジンは異彩を放ち続ける。
●時代を超えてスーパーカー界の頂点に君臨するV12エンジン
そんな時期、1986年にデビューした「LM002」では、カウンタック「LP5000QV」用ユニットをディチューンした排気量5.2リッター、最高出力444psのV12のエンジンが、純然たるクロスカントリーカーの心臓部として初めて収められることになった。
最高レベルのパワーとトルクを実現するLM002は、オンロードでもオフロードでも、V12「オーケストラ」の奏でる豪壮なストリングスとともに、優れたパフォーマンスを発揮したのだ。
再びランボルギーニの本流である、ミドシップのスーパーカーに話題を戻そう。
V12エンジンの搭載場所については、カウンタックで既に最適なソリューションが確立されていたため、それ以上の選択肢はあり得なかったものの、パフォーマンスを向上させるための研究開発が止まることはなかった。
5.7リッター、492psのV12エンジンを搭載した「ディアブロ(1990年)」では、カウンタックで初採用された「LP」というエンジン/トランスミッションのレイアウトの優位性をあらためて証明。さらに、現代のスーパーカーでは半ば常識と化しているフルタイム4輪駆動システムを初めて採用した「VT」を追加設定し、0-100km/h発進加速は4.5秒、最高速度は320km/hに達した。
そしてランボルギーニの新世紀は、2001年に登場する新フラッグシップモデルの発表によって幕を開け、世界に冠たるV12エンジンは、「ディアブロ」から「ムルシエラゴ」に引き継がれてゆく。
排気量6.2リッター、最高出力580psからスタートしたムルシエラゴは、最高速度330km/hを誇る最後の「SV(Spinto VeloceまたはSuper Veloce)」バージョンでは「LP670-4」というサブネームが示すように、排気量は6.5リッターのV12の最高出力は670psへと向上した。
こうして、スーパーカーの世界に確たる足跡を残してきたランボルギーニV12のストーリーだが、2011年に発売された「アヴェンタドールLP700-4」と、すべてが一新されたという6.5リッターのV12とともに、その最終章の幕を開けることになる。
スタンダード版でも最高出力700ps、0-100km/h加速はわずか2.9秒、最高速度350km/hを誇るアヴェンタドールには、最高出力770ps、最大トルク720Nm/8500rpmを発生する「SVJ」など、今日までに4種類もの派出モデルが登場。そのクライマックスを飾るのが、今年初めて姿を現した「エッセンツァ」と、830psを発生するという自然吸気のV12エンジンであった。
そして歴代アヴェンタドールでもっともパワフルな最高出力780psのアヴェンタドールLP780-4 Ultimaeが、公道走行可能な市販カタログモデルの最後を飾った。
自動車業界では、電動化への方向転換が否応なしに迫りつつある。フェルッチオが望んで登場したランボルギーニのV12の系譜も、LP780-4 Ultimaeがラストだと考えると、感慨深いものがある。
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