ランボルギーニV12の波瀾万丈ストーリー 「アヴェンタドール」まで続いたDNAとは

最後の自然吸気V12を搭載したランボルギーニ、「アヴェンタドールLP780-4 Ultimae」が発表された。そこで、ランボルギーニ創業当時から採用され続けてきたV12の歴史について振り返ってみよう。どうしてランボルギーニがV12にこだわってきたのか、その理由がみえてくる。

どうしてランボルギーニはV12にこだわっていたのか?

 2021年7月7日12時(イタリア現地時間)、ランボルギーニ「アヴェンタドールLP780-4 Ultimae」が発表された。LP780-4 Ultimaeは、ランボルギーニが創業当時から作り続けてきた自然吸気V型12気筒エンジン搭載モデルのラストとなる。そこで、ランボルギーニ歴代V12を振り返ってみよう。

ランボルギーニのV12といえば、元祖スーパーカーの「ミウラ」だ
ランボルギーニのV12といえば、元祖スーパーカーの「ミウラ」だ

●フェルッチオ・ランボルギーニの夢をかなえるために開発

 1963年、ランボルギーニの創業者フェルッチオは、自身の夢見る完璧なスポーツカーを作るために、自ら自動車メーカーを設立。同じ年に発表された初の生産モデルランボルギーニ「350GT」に搭載されたのは、フェラーリ「250GTO」の生みの親としても知られる名匠、ジオット・ビッザリーニ技師のもとに開発されたバンク角60度のV型12気筒エンジンで、3497ccの排気量から320ps(当時は270psと公表されていた)の最高出力をマークした。

 このV12エンジンは、かのエンツォ・フェラーリもこだわったとされる、「牛がクルマを引く」という当時の一般的な常識に基づくレイアウトで、長いノーズに収められた。

 当時も今も、加速や加速時に体がシートに押し付けられる感覚は、スーパースポーツカーにとって最高の魅力だろう。自然吸気のV12エンジンはスポーティさ、レスポンスの良さやスムーズネスにも優れ、直線的なパワーとスピードにおいては、時代を超えて最上の選択肢となってきたのだ。

 フェルッチオ・ランボルギーニは、自身の名を冠した初の生産車の心臓部がV型12気筒であることを、当初から明確に希望していた。それは、V12の象徴となっていたフェラーリを凌駕するには最低限の条件と理解していたからに違いない。さらにバルブ駆動機構は、同時代のフェラーリ製ストラダーレのバンクあたりSOHCを超える、バンクあたりDOHCにすることも求めていたという。

 とくにパワーについてのリクエストは厳しく、ビッザリーニ技師に支払うボーナスは、パワーの到達度で決められる出来高制。そこで、ビッザリーニが最初に手掛けたプロトタイプ「350GTV」では、排気量と自然吸気であることを勘案すれば明らかに過度な360psを標榜した。しかし、これはさすがにピーキーな特性となってしまったことから、市販型350GTではディチューンを余儀なくされる。

 ともあれ、こうしてランボルギーニV12の栄光の伝統が始まったのだが、その後も初代V12エンジンは、のちのちに登場するV12エンジンたちのベースとなり、後継モデルでは様々な改良が加えられてゆく。

 350GTの改良版で、2+2バージョンも設けられた「400GT(1966年)」では、ボアとストロークを拡大して排気量を3929ccにアップ。最高出力は320psに、最高速度は250km/hから270km/hに向上した。

 この新型4リッターエンジンは、いくつもの主要モデルに転用され、フル4シーターの「エスパーダ(1968年)」では350psのパワーと260km/hの最高速度を達成した。また330psとされた「400GTイスレロ(1968年)」は、1970年には「ハラマ400GT」にとって代わられ、そのハラマも当初の350psから15psを増強した「ハラマS」に進化する。

 かくして、同時代のフェラーリにも準じたFRレイアウトで一定の成果を見たランボルギーニV12エンジンだが、エンジンを車体の中央に近づければ重量配分が向上することを認識していた新世代のエンジニアたちが、ランボルギーニ社内で新たなムーブメントを試行。

 彼らの課外ワークの成果として1966年に正式デビューした「P400ミウラ」は、それまでの常識を覆すリア・ミドシップを採用し、のちの世に「元祖スーパーカー」と呼ばれることになる。

 P400ミウラに横置きされたV12エンジンは、最高出力370ps、0-100km/h加速6.7秒、最高速度は285km/hで、発表当時は市販車最速となるパフォーマンスを実現。

 またマルチェッロ・ガンディーニ氏のデザイン、カロッツェリア・ベルトーネの架装によるボディも新しいレイアウトを反映し、伝説的なアイコンを生み出した。

 とくにV12エンジンをリアミッドに配したレイアウトは、ランボルギーニのみならず、ほかの高性能車ブランドにも新たな基準をもたらしてゆくのだ。

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