斬新なデザインで自動車史に残る名車 アウディ初代「TT」とはどんなクルマ?

1.8リッターターボはリッターあたり100馬力を超える225ps

 運転席に収まると、キレイな「弧」を描くサイドウインドウが目を引く。

 オーディオに設けられたロゴ入りのリッドをはじめ、エアコン吹き出しの風量を調節するリングやセンターコンソール下のやぐら、ドアグリップなど随所にアルミのアクセントと円型のモチーフが用いられている。これらを目にすると、初代TTの現役当時に何度か乗った際、印象的に感じたさまざまなことが脳裏によみがえってくる。なにもかもが懐かしい。

アウディ初代「TT」のインテリア
アウディ初代「TT」のインテリア

 キーをひねってエンジンを始動させるのもひさしぶりのことだ。

 そしていざ走り出すと、走行距離はさほどでなくても、やはりブッシュやマウントなど樹脂類が、新車時から22年という経年相応にヘタッているのか、走るとそれなりにヤレを感じるものの、1.8リッターターボで225psを引き出したエンジンはよく回り、そしてけっこう速い。

 アクセルを踏み込むと、いかにもターボらしい盛り上がり感のある加速を楽しませてくれる。思えばその後、アウディは何年も連続して、このクラスのインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞したはず。その所以がうかがい知れる。

 シフトフィールも小気味よい。初期のTTは6速のマニュアルトランスミッションしか用意がなかったせいか、当時、街を走るTTを運転しているのは男性が圧倒的だったけれど、途中2ペダルが加わってからは、オシャレな女性が運転しているのをよく見かけるようになったものだ。それがあまりに絵になっていたもので、どちらかというとTTは女性のイメージが強くなったように思う。

 やや重めのステアリングも当時のクルマっぽい。

 いまどきのスポーツカーのようなクイックさこそないにせよ、ショートホイールベースが効いてかハンドリングもそこそこ俊敏でしっかりとしている。

 本格的なピュアスポーツではないが、初代TTはスポーティなフィーリングと、なによりもこのデザインが楽しめて、意外と高い実用性まで備えたという稀有な存在である。

 そのあたりが多くの人に受け入れられた秘訣に違いないし、TTのようなクルマは、おそらくアウディ以外の他のメーカーがやってもサマにならなかったはず。久しぶりに初代TTを走らせて、あらためて思った次第である。

アウディ初代「TT」の走り
アウディ初代「TT」の走り

Audi TT 1.8T quattro(1999年モデル)
アウディTT 1.8Tクワトロ

・車両価格(新車当時。消費税抜):470万円
・全長:4060mm
・全幅:1770mm
・全高:1340mm
・ホイールベース:2430mm
・車両重量:1450kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ(APX型)
・排気量:1780cc
・駆動方式:4WD
・変速機:6速MT
・最高出力:225ps/5900rpm
・最大トルク:280Nm/2200−5500rpm
・タイヤサイズ前後:225/45R17
・10・15モード燃費:10.8km/L

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