斬新なデザインで自動車史に残る名車 アウディ初代「TT」とはどんなクルマ?
コンパクトなスポーツモデルとして人気のアウディ「TTクーペ」。現行型は3代目になるが、1998年にデビューした初代TTは、円をモチーフに直線と組み合わせたシンプルかつ斬新なボディラインで、当時の自動車デザイン界に衝撃を与え、その後のカーデザインに大きな影響を及ぼしたという。登場から23年、そんな初代TTにいまあらためて乗ってみた。
初度登録1999年11月の初代アウディTTとご対面
2020年の昨年、アウディ「TTロードスター」の終焉が報じられて寂しい思いをしていたら、なんと今回初代「TT」に乗れるという貴重な機会をいただいた。
最近ではすっかり見かける機会も減ってしまった初代TTが日本に上陸したのは、筆者が30代に突入した1998年のこと。
当時、世界の多くの自動車メーカーが手ごろな価格とサイズのスポーツカーを送り出したなかでも、ひときわユニークなデザインのTTには衝撃を受けたものだ。その斬新な容姿は、ドイツの造形芸術学校「バウハウス」の思想を彷彿とさせるものでもあり、その後のカーデザインに大きな影響を与えたという伝説の名車でもある。
その後、TTにはたびたび乗るチャンスがあった。近年では、2年あまり前にTT生誕20周年にちなむ世界イベントで最新版のTTを駆り、車名の由来でもある伝統の「マン島TTレース」で使われるコースを走るという、またとない機会に恵まれたこともある。
初代TTに乗るのは、おそらく20年ぶりのこと。目の前にあるのは、初度登録が平成11年11月と、じつに21年あまりも前の、走行7万7000kmたらずという個体。エンジンはAPX型1.8リッターターボを積む。
中古市場の状況を調べてみると、GF-8型は相場も手ごろで50万円以下のものも多く、10万円台まである。
ざっと見た感じ、左ハンドル車やV型6気筒エンジン搭載モデルがやや高いのかなという印象で、限定車や程度のよい個体にけっこう高めの価格が付けられているのは、やはりそれなりに歴史的価値のあるクルマゆえ、プチプレミアもあるということだろう。これから高騰していく可能性だってなくはない。
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あらためてまじまじと眺めると、全長わずか4060mmと小柄ながら、独特の丸っこいフォルムにより存在感がある。グッとスポーティになった2代目や3代目もそれもそれでよかったが、ちょっととぼけた初代の顔も、こう見るといい味を出しているなと思う。
ボンネットを開けると、エンジンルームにびっしり臓物が詰まっていて、カバーのアウディのエンブレムと「5V TURBO」の文字が誇らしげだ。後方排気レイアウトで、鋳物のインテークマニホールドが前方にあり、いまどきのエンジンとはだいぶ様相が異なる。
大きく開くハッチゲートを上げて小さなリアシートを前倒しすると、意外なほど広くてフラットなスペースが出現する。
そういえば初代TTが出てまもなく、「どうしても乗りたかった!」という巨匠カメラマン氏が仕事用に購入して、機材を満載していたのを思い出した。
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