車の「買取価格」なぜ新車メーカーが重要視? 「購入時より高値」起きる車種も
多くの自動車ユーザーにとって、自分の愛車のリセールバリューがどれくらいなのかは非常に気になるところですが、じつは自動車メーカーも自社のクルマのリセールバリューを重要視しているといいます。モデルによっては「購入時より高値」という事例もあり得るというのですが、いったいどういうことなのでしょうか。
クルマのリセールバリューはどのように決まる?
2020年末、筆者(桃田健史)の手元にあった2018年式スズキ「ジムニー」を買い取り業者で買い取ってもらったところ、なんと新車購入時より高い金額になりました。
購入から2年4か月、走行距離は2万キロを超えているにもかかわらず、価格が上昇したのです。いわゆる、プレミアがついたという状態です。
30年ぶりのフルモデルチェンジであり、長年のジムニーユーザーや近年のオフロードブームによる新規ユーザーなどが注目する4代目ジムニー。受注に対して生産が追い付かず、注文から納車まで1年待ちという時期もあったという人気車です。
筆者としては、新生ジムニーの本質を実感するために、これまでさまざまなシチュエーションをフル活用し記事化してきましたが、2021年は新型コロナ禍で新たなる領域での取材を強化するため新規車を導入することになり、残念ながらジムニーから一時卒業することになったのです。
以前から、ジムニーは長年乗っても値が落ちにくいという話は知っていたものの、まさか2年以上乗って値上がりするとは。
今回だけではなく、以前に他のクルマも対応してくれた買い取り業者担当者は相場をチェックしながら「品薄なので、この価格は当然といえば当然ですが、それにしても…」、と驚きの表情でした。
買い取りの数日後、業者が筆者から買い取ったジムニーは、首都圏から信越地域にあるジムニーやSUVの需要が多い店舗に移送されました。
こうしたクルマの買い取り価格や下取り価格を、英語ではリセールバリュー(残存価値)といいます。
一般的に知られているように、クルマの価格は新車時から経年で減少するもので、中古車買い取りサイトなどでは、新車購入の1年後、3年後、5年後などでの相場が表示されています。
この「相場」という言葉が、リセールバリューの特性をうまく表現していると思います。
相場といえば、株式相場に代表されるように、企業業績や社会環境などの外的要因によって上下するもので、その動きを正確に予想することは難しいものです。
当然のことですが、リセールバリューは、需要と供給のバランスで決まります。購入希望者数が市場在庫より多いほど、相場は上がるのです。
購入希望者数は、社会的な流行によって一気に増えることがあります。
分かりやすい事例が、アメリカでの輸入車に対する25年ルールでしょう。
米連邦運輸局(DOT)が保安基準に対して、また連邦環境局(EPA)が排ガス規制に対して、製造から25年以上経った輸入車での規制緩和を実施しました。
1990年代末から2000年代前半にアメリカで巻き起こった日本車改造車ブームに憧れている世代が好むR32型の日産「GT-R」などが、その25年ルールに該当したことで、日本国内の当該車種の相場が急上昇したのは記憶に新しいところです。
一方、日本ではアメリカのような法的な規制緩和が原因ではなく、例えばネオクラシックブームによる日産「セドリック」やトヨタ「ソアラ」など昭和のクルマ、またキャンプブームによるオシャレなオフローダー需要増でトヨタ「ランドクルーザー」の歴代モデルや「FJクルーザー」、さらに三菱「デリカD:5」の相場が上がっています。
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