軽も2030年半ばに電動化 EV重視で軽自動車規格の撤廃もあり得るのか

政府は、2030年代半ばの通称「脱純ガソリン車」の方針に関して、軽自動車も含めた検討をしていることが明らかになりました。国内市場では、約4割を軽自動車が占めていますが、今後の検討内容次第では軽自動車規格の撤廃もしくは変更の可能性も考えられます。そうなると、軽自動車税などの税制などにはどのような影響があるのでしょうか。

日本市場にマッチした軽自動車が電動化で価格上昇の危機

 2020年12月22日、新聞や通信社が同年11月に政府が明らかにした「2030年代半ばまでに純ガソリン車の新車販売をやめ電動車にする目標」に関して、新たに軽自動車も対象に含めることを検討していると報道しました。
 
 これにより、現在の国内新車市場で約4割のシェアを誇り、地方部では無くてはならない移動手段のひとつとされる軽自動車の価格上昇が確実視されています。では、実際のユーザーは軽自動車の電動化に関してどのような反響を示しているのでしょうか。

軽自動車が2030年代半ばに電動化必須となった。今後の軽自動車市場や独自規格はどうなるのでしょうか。
軽自動車が2030年代半ばに電動化必須となった。今後の軽自動車市場や独自規格はどうなるのでしょうか。

 11月の政府の方針のほか、東京都の小池都知事も「乗用車は2030年、二輪車は2035年までに純粋なガソリン車の新車販売をやめ、電動車に以降する」方針を固めていました。

 この政府と東京都の方針表明は自動車業界のみならず、クルマを日常的に使用するユーザーにも大きな反響を呼んだのです。

 この報道時には、軽自動車に関してアナウンスされておらず、自動車業界関係者は乗用車のなかに含まれると考えていましたが、今回の報道によりそれが確実視されました。

 また、今回の報道では、軽自動車が電動化することで開発コスト増が予想されることから、小型の蓄電池に対する開発補助や国内生産の支援も同時に検討されるとし、今後は軽自動車価格の上昇がどこまで抑えられるかが注目されています。

 国内市場において、軽自動車はここ20年ほどで性能・安全面が大幅に向上している一方で、価格もそれに合わせて上昇してきました。
 
 かつては100万円を下回るものも存在していましたが、最近では150万円から200万円前後というモデルが主流です。
 
 そうしたなかで、軽自動車が電動化することで、エントリーモデルが200万円を超えることが予想されます。

 軽自動車の価格例として、日本で1番売れているホンダ「N-BOX」は、初代モデルが2011年11月に登場。その後、2代目モデルは2017年9月に登場して現在に至っています。

 価格面において一概に比較は出来ないものの、初代モデルは発売当初(当時の消費税込み)124万円から146万円、N-BOXカスタムは144万円から178万円(ターボ仕様)となっていました。

 その後、2代目モデルからホンダの安全運転支援システム「Honda SENSING」が全車に採用されるなど性能・機能が向上し、2020年現在の価格(消費税10%込)では、N-BOXが141万1300円から192万6100円、N-BOXカスタムは174万6800円から212万9600円と価格面だけでの比較では上昇しています。

 また、スズキの軽自動車「スペーシア」はマイルドハイブリッドといわれる簡易的にモーターで発進や加速をアシストする機能が搭載されており、初代モデル(2013年)から2代目モデル(2017年)に掛けて、マイルドハイブリッドシステムが進化したことも含めて、エントリーモデルの価格が10万円から15万円ほど価格が上昇しました。

 こうした軽自動車の状況において、今回の電動車にどこまで含まれるかで多く価格は変わってきます。

 現在、電動車としては電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、そしてハイブリッド車(HV)が含まれているのが定説ですが、このハイブリッド車に前述のマイルドハイブリッド車が不透明です。

 メーカー毎に仕様や定義により異なるものの、基本的にエンジンを使わずEV走行が可能なものをハイブリッド車、エンジンをアシストするのがマイルドハイブリッド車といわれています。

 仮にEV走行が可能なハイブリッド車のみを電動車として定義した場合には、軽自動車価格は大幅に上昇することは避けられません。

 代表例として、国産車においてガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車を設定しているモデルとしてトヨタ「RAV4」が存在します。

 それぞれのエントリーモデル価格は、ガソリン車(Xグレード)が274万3000円、ハイブリッド車(HYBRID Xグレード)が334万3000円、プラグインハイブリッド車(Gグレード)が469万円です。

 実際には、それぞれの排気量や駆動方式が異なりますが、価格面だけで見るとガソリン車とハイブリッド車で約60万円、そのハイブリッド車をベースとしたプラグインハイブリッド車で約135万円の価格差が存在します。
 
 また、電気自動車においては日産「リーフ」(40kWh仕様)のエントリー価格が332万6400円です。

 なお、SUVタイプの電気自動車「アリア」は2021年中頃に登場する予定となり、日産はエントリーモデルと見られる65kWh/2WDについて、「お客さまの実質購入価格は約500万円からとなる見込みです」と説明しています。

 さらに、軽自動車に近いボディサイズでいえば、ホンダの小型電気自動車「ホンダe」(35.5kWh)は451万円と、単純な比較は出来ないものの現時点で軽自動車をEV走行が可能な電動車に置き換える場合には、エントリーモデルの価格は約300万円近くになります。

 こうした軽自動車の価格について、ホンダの販売店スタッフは次のように話します。

「クルマ全般にいえることですが、新しい技術や機能が追加されるごとにその分の価格上昇は否めません。

 なかでも、軽自動車は価格が安いというイメージがあるため、改良やマイナーチェンジで価格が上がると違和感を持つお客さまも少なくありません。

 しかし、最近の軽自動車はコンパクトカー(5ナンバー車)並の性能・機能なこともあり、乗り出し価格で考えると250万円前後になることも珍しくないです。

 また、2030年頃には電動車は必須になるでしょうし、その頃には乗り出し価格が300万円以上が普通になるのであれば、恐らくそこまでお客さまからマイナスの反応はないかと思います」

※ ※ ※

 2019年で軽自動車規格が制定されてから70年を迎え、今やコンパクトカー並みの性能を実現している軽自動車ですが、2030年には80年を超えます。

 その頃には、技術の進化によりモーターやバッテリーなど電動化に関する技術の開発コストが抑えられ、現在の標準化した安全装備のように電動車が標準となれば、「脱純ガソリン車」も騒ぎ立てることもないのかもしれません。

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2件のコメント

  1. 何時も同じ話で申し訳ないが、建設作業やゴミ収集の特種用途はどうするのかな?
    エンジンの寿命を大半が作業場で消費する特種用途のほうを先に手をうたないと乗用車も先に進めないと思うし、そこにEVの問題の本質があるのではないかな?
    今働く特種用途車両だけを全て電化したとしても電力パンクしないかね?
    因みにコンクリート圧送なんて大変そうだしね。
    東京都の都バスのハイブリッドを乗用車と同じハイブリッドとして区分けするのも無料あるし。

  2. 結局、最後は日産のノートの宣伝になってる。このチョット頭の弱い記者は、日産の回し者みたいだな。

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