軽も2030年半ばに電動化 EV重視で軽自動車規格の撤廃もあり得るのか
本当の問題は、電動化ではなく軽自動車規格にある?
軽自動車規格は、その時代に合わせて変更されています。現在の軽自動車の定義は、ボディサイズが全長3400mm×全幅1480mm×全高2000mm以内、エンジン排気量は660cc以内(最高出力は自主規制で64馬力まで)、最大4名乗車で貨物積載量350kg以下となります。
ここで今後の課題となるのが、現在の軽自動車規格内でバッテリーを搭載することによる、デメリットです。
軽自動車はその規格を最大限に活かした室内空間が魅力となり、昨今では全長1700mm以上かつ後席スライドドアを採用する前述のN-BOXやスペーシアが人気です。
しかし、今後バッテリーの小型化を進めていくとはしているものの、EV走行可能な電動車として製品化するにはそれ相応のバッテリースペースが必要といえます。
また、重量増による軽自動車としての耐久性など軽自動車規格の根本的な見直しがおこなわれる可能性もあり得ます。
そうなると、軽自動車税や自動車税にも影響が出ると考えられます。現在の自動車税は、軽自動車[四輪以上](自家用車)で1万800円です。
なお、自動車税は排気量で決まり、「1リッター以下」が2万5000円、「1リッターから1.5リッター以下」が3万500円、「1.5リッターから2リッター以下」が3万600円といったように、排気量が大きくなると自動車税も高くなります。
また、軽自動車(乗用車)の上の区分では、5ナンバー車(小型自動車)というものがあり、これは「排気量2000cc以下、全長4700mm以下、全幅1700mm以下、全高2000mm以下」と定められていますが、軽自動車規格が変更されると、そのほかの規格や税にも問題が発展する可能性があります。
実際に、ソニー損保が2018年に調査した「2018年 全国カーライフ実態調査」において、ドライバーが負担に感じるものとして「自動車税」がもっとも高い結果となっています。
軽自動車は、普通車(5ナンバー車や3ナンバー車)と比べて、車両価格や税などの維持費が安価に抑えられることが最大のメリットでしたが、前述の電動化による開発コストや、税制面での優遇差がなくなると軽自動車市場に大きな変革が起こり得ます。

一方で、5ナンバー車に分類される日産の新型「ノート」はフルモデルチェンジでガソリン車を廃止。ハイブリッド車(e-POWER)のみとなり、エントリーモデルとなる「S」が202万9500円となるほか、最新の性能や機能を搭載しています。
今後、これまでの軽自動車に対するイメージと、5ナンバー車でどのように国内市場のバランスを取っていくのかにも注目されます。
Writer: くるまのニュース編集部
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