新車価格以上は当たり前!? 価格高騰中のモデルのなかでも激レアな車3選
現在、世界的に価格が高騰中のクルマといえば、1980年代から1990年代に生産されたスポーツモデルです。日本車だけでなく、欧州のスポーツカーも、軒並み中古車価格が上がってしまいました。そこで、価格高騰中のモデルのなかでも、さらにレアな限定車を3車種ピックアップして紹介します。
本当にレアなネオクラシックたちを振り返る
1950年代以前に生産されたクラシックカーは、その希少価値から美術品のように取り扱われ、昔から高価な価格で取り引きされてきました。しかし近年は、もっと新しい1980年代から1990年代に生産されたクルマの価格が高騰しています。
なかでも日本車や欧州車のスポーツモデルは異常な価格高騰により、新車価格を上まわるのは当たり前で、程度の良いモデルや限定車は、新車価格の2倍から3倍という価格で取引されることも珍しくありません。
そこで、現在価格高騰中のモデルのなかでも、さらにレアな限定車を3車種ピックアップして紹介します。
●日産「スカイラインGT-R NISMO」
1989年に発売された日産「R32型 スカイラインGT-R」は、2代目から16年ぶりのGT-R復活とあって、発売されると同時に大いに話題となりました。
このR32型 スカイラインGT-Rは初代と同様で、レースに勝つという目標のため開発されたモデルです。
エンジンは280馬力を発揮する2.6リッター直列6気筒ツインターボを搭載し、リア駆動を基本とした可変トルク型の4WDシステム「アテーサE-TS」が組み合わされ、1990年から参戦した全日本ツーリングカー選手権では無敵を誇りました。
この全日本ツーリングカー選手権は「グループA」にカテゴライズされたマシンで争われましたが、レギュレーションで改造に厳しい制約がありました。
そこで、スタンダードモデルに対して特別なパーツが組み込まれた「スカイラインGT-R NISMO」を、1990年に500台限定で発売。
グループAの規定では外観の変更はドアミラー以外許されないため、フロントバンパーに冷却用ダクトが追加され、リアウイングに加えて小型のリアスポイラーを装着。
エンジンではターボチャージャーのブレードがセラミックからメタルに変更され、出力などのスペックはベースモデルから変わっていません。
また、ABS、エアコン、オーディオ、リアワイパーなどの装備が省かれ、約30kgの軽量化が施されています。
スカイラインGT-Rはごくわずかな台数が海外でも販売された実績がありますが、基本的には国内専用モデルです。しかし、数年前からスカイラインGT-Rはアメリカで人気となり、大量の中古車が流出した結果、価格が高騰。
とくにスカイラインGT-R NISMOはシリーズのなかでも異色な存在で、いまでは極端に数が少ない幻のモデルなため、滅多に中古車市場に出てくることはありませんが、売買されるとなると、かなり高額になることは必至です。
●ポルシェ「911スピードスター」
ポルシェが第二次大戦後、初めて量産化したモデル「356」は、市場規模が大きいアメリカでの販売を主軸としたモデルだったため、オープンモデルがメインでした。
1964年にデビューした初代「911」では、1967年には固定式ロールバーに着脱式ソフトトップを備えるオープンモデル「タルガ」が加わり、1974年に登場した第2世代以降ではフルオープンとなる「カブリオレ」が設定されています。
そして、1989年には限定モデルの「911スピードスター」が登場。911スピードスターは、356スピードスターをオマージュしたモデルで、手動の簡易なソフトトップを採用し、Aピラーを切断して小ぶりなウインドシールドを設置。さらにリアシートは省略され、後部を覆うカウルが取り付けてあります。
ボディタイプは911ターボと同様のワイドフェンダーとした「ターボルック」と、スタンダードな「カレラボディ」が存在し、カレラボディの方が希少です。
当時、日本ではバブル景気だったため、並行輸入も含めるとかなりの数の911スピードスターが販売されました。
また、次世代の964型にも1993年にスピードスターが限定販売されましたが、総生産台数は900台ほど、日本への正規輸入は50台ほどといわれています。
現在、価格高騰中の空冷911のなかでも964型はとくに人気で、限定車だったスピードスターは新車価格が1300万円ほどだったのに対し、2000万円近い相場で取り引きされ、ほかの限定車も軒並み新車価格を上まわっている状況です。
ちなみに水冷エンジンを搭載した第6世代の997型でも、2010年にスピードスターが限定販売されましたが、日本にはわずか6台のみの割り当てでした。